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【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【完結編・1】

632: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:20:31.27 ID:mDlupBwFa0909

第九話

17:00

長濱「で、二人はどこに行きたいと?」

守屋「え、デイズニーランド行きたい!」

長濱「へ?」

米谷「…………」

守屋「ん?」

長濱「いや、その……島を脱出したらなんだけど……」

米谷「やんな。外国か」

長濱「国にはおれんからね。見つかったら殺されちゃうから」

守屋「あっ…………」

長濱「どこがいいと?」

前編→【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【前編】 
中編→【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【中編】
中編2→【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【中編・2】

後編1→【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【後編・1】
後編2→【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【後編・2】
後編3→【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【後編・3】

 

633: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:22:05.94 ID:mDlupBwFa0909

守屋「あ、でも……」

チョーカーにマイクが内蔵され、会話が筒抜けだということに気づいていた。
無言でチョーカーを指差すも、長濱もそれを察して”大丈夫”と口パクで言う。
半信半疑で頷き、行きたい外国を挙げる。

守屋「やっぱコスメの韓国か、オーガニックのモロッコ?どっちがいいかな……」

長濱「あっはは!茜ちゃんらしいや!」

米谷「いや、アジアはあかんやろ。近すぎだから」

守屋「あそっか!」

長濱「米さんはどこがいいと?」

米谷「うちは――、アメリカかな」

守屋「わお!?」

米谷が米国と言うと、守屋はアメリカンな反応をする。

 

634: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:23:45.95 ID:mDlupBwFa0909

長濱「合衆国いいね!なんで?」

米谷「ちょっとやりたいことがあって……。アメリカならそれができるんじゃないかなって思って」

長濱「合衆国は広すぎるから絶対に大人たちに見つかることはない。自由にやりたいことをやれると思うよ」

米谷「そうか……」

守屋「じゃあ私もアメリカ!!」

長濱「茜ちゃんも何かやりたいことがある?」

守屋「えっと、まだ何もないんだけどやっぱ世界一と言ったらアメリカだもん!行くっきゃないでしょっ!」

長濱「もう親御さんに会えんと思っとってね」

守屋「……うん、分かってる。もう永遠に会えない子がいるんだもん……」

米谷「会えなくても、同じ星で生きていればそれでいいよ」

長濱「生きていればいつかは会いに来れるから――」

“行ける”ではなく”来れる”と言った長濱の言葉に引っかかる。

 

635: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:24:58.69 ID:JNufJU2F00909
待ってました!

 

636: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:26:17.20 ID:mDlupBwFa0909

米谷「……。ねるはどうすんの?」

長濱「ねるは、大人たちに復讐する」

守屋「ふ、復讐ぅ!?」

長濱「宇宙で一番愛していたふーちゃんの命を大人たちに弄ばれて奪われたんだ。許せるわけないよ」

米谷「復讐して何になるん?」

長濱「せずにはいられん。きっと復讐しないままどこかへ行っても生きてはいけない。ねるがふーちゃんに会いに行くか、大人たちを地獄に落とすかのどちらかしかない」

米谷「……じゃあ、やっぱりねるは国に留まるの?」

長濱の意思は相当強く、固く頷く。
肩を震えている女は断固拒否する。

守屋「私は嫌だ!!!」

長濱「!え?」

 

637: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:28:05.85 ID:mDlupBwFa0909

守屋「ねるの言ってることはすっごい分かる!私だって冬優花の――いや、詩織、虹花、葵、おぜちゃん、由依、ずみこ、莉菜、菜々香、梨加ちゃん、美愉、友香、愛佳、理佐、そして織田の仇を討ちたいよ!!」

長濱「茜ちゃん……」

守屋「でも、誰も私たちに復讐してほしいなんて望んでないよ!もし私が死んでも無事に脱出できる子がいたとしたら、ただ生きていてほしいからと思うから!返り討ちに遭ったりしたらあの子たちがもっと悲しむよ……」

長濱「……っ。でも、ねるは――」

守屋「ほんとは気づいているんでしょ。ねる?」

長濱「……」

船で大立ち回りをした後、海に揺られながら見た夢を思い出す。
最愛の人から『生きてくれ』と頼まれ、それに応じたのだった。

米谷「それに、復讐って言ったって小娘一人に何ができる?」

長濱「米さん!」

米谷「ねるはきっと復讐して死にたがってる。そんであの世にいる冬優花に褒められたいんちゃう?」

長濱「それは――……」

 

638: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:30:45.40 ID:mDlupBwFa0909

米谷「そんなことしても冬優花は怒るだけやで。まさか怒られたいんか?どちらにせよ冬優花はそんなこと絶対望んでない」

長濱「…………」

米谷「次に冬優花に会えるんは、あんたがおばあちゃんになった時になんで」

守屋「だから、ねるも一緒にアメリカ行こっ?ねっ?」

長濱「………………」

長濱は長考する。

二人に自分の考えが見透かされて、その上死んでいったメンバーの気持ちも汲み取っている。
復讐すれば冬優花が喜んでくれると無理やり思い込んでいた。
そんなこと喜んでくれるはずがないと自分で一番判ってるのに。
それなのに復讐を選んだのはただのわがままだ。
本当に冬優花が望んでいる事こそやるべきだと目が覚める。

長濱「――分かった。ねるもアメリカに行くっ!」

守屋「ねるぅー!!!」

 

639: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:33:43.81 ID:mDlupBwFa0909

長濱「これからもずっとおばあちゃんになるまでよろしくね!茜ちゃん米さん!!」

守屋「うん!!!」

米谷「おう!あ……あと、この際やからうちのこと名前で呼んでくれへん?」

守屋「え、名前?」

米谷「いつまでもあだ名はちょっと……」

“米さん”というあだ名は嫌いではなく、むしろ好きだ。
メンバーが互いに名前で呼び合っているのに憧れていた。

そのことを察した二人は名前で呼ぶことにする。

守屋「OK!奈々未!」

長濱「奈々未――サン」

年下だが恐れ多くてさん付けしてしまう。
呼び捨てで呼ぶには時間がかかりそうだが、今はまださん付けで許してもらう。

 

640: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:35:35.46 ID:mDlupBwFa0909

米谷「ねるは何かやりたいことある?」

長濱「そうだな~~……、あ!バンドしたい!」

守屋「バンドかー!いいね!」

長濱「大々的な活動はできんと思うけど、小銭稼ぐ程度ならいいいかなーって」

守屋「がんばってね!」

長濱「みんなでやるんだよ?土生ちゃんとみいちゃんも入れて5人で!」

守屋「って、私たちもおっ!?」

米谷「いやいや?楽器やったことないから!」

長濱「大丈夫!みんな最初は初心者だから」

守屋「ひえ~~でもなんだか楽しそうだね!」

 

642: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:37:43.26 ID:mDlupBwFa0909

米谷「バンド構成は?」

長濱「5人だから~ボーカル、ギター2、ベース、ドラムかな?ボーカル兼ギターならもう一人はキーボードでもいいかもね」

守屋「ねるがギターでしょ?澤部さんに買ってもらったやつがあるもんね!」

長濱「茜ちゃんは気合でドラムできそう」

守屋「おお!一番気合入れがいがありそう!」

米谷「そういえば去年美波のやってるラジオのメインパーソナリティーからX’masプレゼントでギター買うてもらってたな」

長濱「じゃあ、奈々未さんはベースやる?」

米谷「うん、やってみるか」

守屋「瑞穂がメインボーカルでいい感じじゃん!背高いし向こうで受け良さそうじゃない?」

長濱「確かに。向こうはみんなおっきいからね」

 

643: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:39:57.44 ID:mDlupBwFa0909

米谷「ねるはアメリカ留学してたんだよね?」

長濱「学生の時に少しだけね。だからいろいろ任せといて」

守屋「頼りになる~」

米谷「英語勉強せんといかんな」

守屋「瑞穂とみいちゃんと合流したら、みんなでバンド名を決めよう!」

長濱「そうだね~」

守屋「ところで、さっき言ってた奈々未がアメリカでやりたいことはみんなでできること?」

米谷「うちのやらなあかんことは、ねるがいてくれれば――」

長濱「!」

その時、時刻は午後6時になる。
同時に腕のウォッチに澤部の映像が映し出される。

 

644: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:42:22.79 ID:mDlupBwFa0909

澤部『うらー!!いよいよ君たちの殺し合いも大詰めを迎えて参りました~~!』

守屋「澤部――さん!」

澤部『それじゃ死んだ人の報告をします!』

米谷「……!」

6人しか残っていない島で死んだメンバーがいる。
ここには3人おり、残り生き残っている小池、土生、平手の誰かが死んだのだ。
自然と平手が亡くなっていて欲しいと願う。

澤部『十五番土生瑞穂――』

守屋「――は?……ハブミ、ヅホ……?」

澤部『六番小池美波。以上』

米谷「!!み、なみ………」

待ち人の名前が呼ばれ身体の力が抜けていく。

 

645: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:45:09.75 ID:mDlupBwFa0909

長濱「茜ちゃん奈々未さんッ!!!!」

米谷「はっ!!!」

守屋「…………」

呼び掛けは守屋には届かず、直接肩を揺すって声をかける。
珍しく緊迫した状況に声をまくしたてる。

長濱「茜ちゃんッ!!!!」

守屋「!!……へ?」

長濱「ぼんやりしないで!!今の放送聞いたでしょ!今この島で生き残ってるのはねる達と平手だけ!!」

守屋「……は?――え……な、に?」

長濱「だから平手だよ!!!あの子が土生ちゃんから探知機を奪った可能性がある!」

激昂して荷物を持たせてくる長濱に恐れを覚えるも、言われたことを理解し始め立ち上がる。

守屋「ああっ!!」

 

646: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:47:29.11 ID:mDlupBwFa0909

その時、簡易警報器の枝が落ちる。
それはもう一人がすぐそこまで来ていることを知らせる。

長濱「くっ……!!!」

同時にダララララララと銃声が鳴り響く。
即座に木の陰に入り、身を縮める。

守屋「ひゃっ……!!」

米谷「七時の方角や!!」

長濱がスナイパーライフルで撃ち返す。
それを木に隠れてかわされる。

長濱「こっちッ!!」

襲撃時に備えて脱走ルートを決めていた。
再び機関銃が火を噴き、木に伏せる。

守屋「ひぃいいっ……!!!」

弾切れし敵は予備のマガジンに取り換える。

 

647: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:47:48.18 ID:fEIAyABO00909
きたきた
見てます

 

648: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:49:19.61 ID:JNufJU2F00909
盛り上がってまいりました

 

649: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:50:19.82 ID:mDlupBwFa0909

長濱「撃ち返して!!!」

守屋「!!う――わあああ!!!」

指示に従い撃ち返して動きを封じる。
撃ちながら走って距離を離していく。

長濱「乗って!!」

隠し置いていたソリのようなものに三人が密着して乗る。

長濱「下るよ!!!」

山の傾斜をなかなかのスピードで滑り下りる。
敵が新しいマガジンで連射して来る。

守屋「ぴょん!?」

弾は自分たちが通り過ぎた木々に次々と命中していく。
ソリのスピードが増し、遮蔽物に阻まれて安全圏まで離れる。

 

650: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:51:52.78 ID:8WzdggTPd0909
この状況で「ぴょん?」は草

 

651: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:53:08.05 ID:mDlupBwFa0909

50メートル程下ると平なところになり減速する。
ソリから降り少し走ると目の前を川が流れていた。

長濱「出すよ!!」

守屋「!?あん!!」

傍らの茂みに隠れるようにあったボートを三人がかりで引っ張り出す。

長濱「乗って!!」

本日二度目の「乗って」の指示に、入水したボートへ乗り込む。
ボートが川を下り始めると、敵はブレザーをソリ代わりにして滑り下りて来た。
すぐさまマシンガンを向け乱射して来た。

米谷「!!伏せろ!!」

守屋「!!ひゃあっ!!!」

長濱「くっ……!」

川や船に弾丸が当たるも一先ず嵐は過ぎ去る。
泳いでこない限り追えない地形になっており、敵と再び距離をとり第一ラウンドが終了する。

 

653: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 17:58:15.01 ID:mDlupBwFa0909

運転手の長濱以外は伏せる前に一瞬だけ敵の顔が見えた。

守屋「やっぱり友梨奈だ――!あいつが瑞穂とみいちゃんを……!!」

米谷「間違いない。ヤツはうちが土生にあげた眼鏡型探知機をかけていた」

長濱「あの子はずっと前から近くまで来ていたんだ。それで放送と共に奇襲をしかけた」

米谷「ずっと三人まとめて片付ける算段をつけていた感じだった……」

長濱「今のうちに弾を装填しといてね」

守屋「でも、あの子追って来られるのかな?」

長濱「ヤツは探知機を持っとる。例え地の果てでも追って来る。それに――」

後ろを見ると、遥か川上からカヌーに乗ってやって来る人物がいた。

米谷「来るで……!」

 

654: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:02:45.06 ID:mDlupBwFa0909

平手は樹木を切り倒し一人乗りのカヌーをわずか一分で造り上げ、程良い太さの枝をオールにして猛スピードで追って来た。

守屋「うそでしょおっ!?」

長濱「第二ラウンド、スタート」

次なるステージは川で、銃撃戦が始まる。
先手平手は機関銃を乱射する。

三人は伏せて、ボート船尾に被弾する。
船尾のみ特別に補強してあり弾丸を防いだ。

長濱は操縦で照準をそらし、集中砲火は避けていた。

守屋「あっらあああ!!」

後手守屋は拳銃を連射する。

平手はオール操作で船ごと弾をかわす。
数発はカヌーに当たるも分厚い木に阻まれる。

 

656: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:05:41.78 ID:mDlupBwFa0909

守屋「そんな!?!」

弾切れした途端、機関銃を乱射してきた。
操縦で照準をずらすも、運転手長濱の左肘を掠める。

長濱「ッ!!う~~~~!!」

守屋「ネル!!!大丈夫か!!?」

長濱「いいから撃って!!撃ち続けてっ!ヤツに撃つ暇を与えないでっ!!!」

守屋「うん!!」

米谷「はあ!!」

守屋は拳銃、米谷はスナイパーライフルを二人交互に撃つ。

平手はさすがにかわし切れず、カヌーの中に身を引っ込める。
完全に姿が見えなくなり、カヌーに命中するも本体に弾が届かない。

 

657: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:07:53.79 ID:mDlupBwFa0909

片方が弾切れするともう片方が予備の弾倉と交換したり弾詰め込み射撃する。
それを繰り返し、一発も平手に撃たせない。

平手「……」

平手は弾切れした瞬間に反撃しようと、中から気配を窺っていたが中々出られなかった。

守屋(よし!これならあの子は撃って来れない!……ん?)

米谷「!?おい……」

カヌーから黒いものが顔を出している。
一瞬頭かと思ったがそれは機関銃だった。
銃口は真っ直ぐこちらを向いており火を噴く。

守屋「え――?」

米谷「ヤバイ!!!!」

米谷は守屋を庇い身を低くするも最初の一発だけ左肩に被弾する。
他は頭上数センチのところを数十発通り過ぎ、アドレナリンを垂れ流す。

 

658: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:12:13.08 ID:mDlupBwFa0909

守屋「あああ奈々未いいい!!!」

米谷「だ……大丈夫!!!」

続いて平手は浮上して、狙いを人間ではなくボートに集中して連射する。
撃ち返せず身を低くすることしかできない。

守屋「何何何何!!!?」

米谷「あ、あいつ……まかか!!!」

程なくしてボートはがたつき始め不安定になる。

長濱「っ!!?」

守屋「な、なんか沈みそう!?」

船を見ただけで構造を理解し、急所を狙って撃ち続けていたのだ。
舟底中央を破壊され、時間が経てば沈むと判断する。

 

659: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:18:36.33 ID:mDlupBwFa0909

長濱「あと1分!!このまま持ち堪えて……!」

守屋「い、一分!?」

わずか60秒を持ち堪えるのにどれほど大変なことか。
もしかしたら一分後には命がないかもしれないのに。

それでもここが頑張り時だと気合を入れて銃を撃つ。

守屋「えええい……!」

平手のマネをして、拳銃のみを顔を出し引き金を絞る。

平手「!」

偶然平手の頭にかするも、誰も目撃はしなかった。
平手は命の危険を感じ、一旦中に身を隠す。

守屋はこちらの番になったと気づき、米谷と顔を出して狙い撃ちする。

 

660: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:22:28.70 ID:mDlupBwFa0909

守屋「あい!あい!あああい……!」

米谷「このぉ!!」

平手が入っている穴めがけて射撃する。

米谷「あと、30秒……」

はるか川下に先に続いている川が見えなくなる。
そこは支給された地図に滝の地図記号が記されているところだった。

長濱「先に行かすよ!!」

ボートを急減速させ、その横をカヌーが通る。
カヌーの中に伏せている平手が見えたが一瞬で通り過ぎる。

すぐに再発進させ、今度はカヌーを追う形となる。

長濱「全弾使っていいから、もう一発も撃たせないでッ!!」

 

661: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:27:06.34 ID:mDlupBwFa0909

ボートは後方に防御策を練ったが前方はガラ空きであり、もう一度機関銃が火を噴けばゲームセットとなる。
攻撃を最大の防御とし、守屋と米谷は交互射撃を再開する。

守屋「シャー!」

米谷「ふっ!」

射撃の腕も上がり、平手の入っている穴へ集中的に連射する。
間髪入れずに撃ち、機関銃だけ出すことすらも許さない。

長濱「そのまま!!!あと10秒!」

滝まで近づいていた。進めば落ちることになる。

長濱(勝てる――!出てきたら集中砲火、そのまま出て来なくても滝に真っ逆さま!)

滝に近づき、長濱はボートを対岸へ急停止させる。
二人はまだ射撃を続け、カヌーから蟻一匹出さない。

長濱「バイバイ」

そしてカヌーはあっさりと滝底へ落ちて行った。

 

663: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:30:51.11 ID:mDlupBwFa0909

三人は対岸に降りて、滝底を見下ろす。
高さ15メートル以上の滝は勢いが強く厳つい岩があちこちにある。

そこにはボロボロのカヌーが逆さまになって浮いていた。

守屋「し、死んだのかな?」

長濱「たぶんね。滝から落ちて生きとる事例は少ない。だからここを選んだ」

米谷「生きてたとしても、この高さなら全身折れてる」

長濱「なんとかなったね……。かなり”危なっかしい計画”だったけど……」

米谷「我ながら危なすぎたわ!何度死にかけたことか……」

守屋「てか、なんで私に教えてくれなかったの!?酷いよ!!」

米谷「あー誘導しとることを悟られると警戒して深追いして来なくなると思ったからな」

守屋「そこまで考えて……!!」

 

664: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:36:40.36 ID:mDlupBwFa0909

長濱「平手……、これで成仏して――」

守屋「これで終わりなんだね……………」

米谷「ああ、終わりや――ものの数分で。終わってみれば呆気ないもんやな」

ラスボスを倒し、滝つぼを見て感傷に浸る。

米谷「――!!?」

川の流れで逆さまのカヌーが元に戻ると誰も乗っていなかった。
身を投げ出されてそのまま沈んだのだろうか。
死体は浮き上がるものだが、まだその姿が見えない。

最悪の事態を考え、後ろを振り返る。

米谷「う――後ろや!!!!!」

川上の対岸から、平手が走って来ていた。

長濱「ヒ、平手ェ――ッ!!?」

守屋「な、な……なんで生きて――!!?」

幽霊を見たように驚き震え上がる。
平手の機関銃が火を噴き、最終ラウンドが始まる。

 

665: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:41:12.61 ID:mDlupBwFa0909

三人は急いで木の陰に飛び込むが、米谷の左腿を抉った。

米谷「ああ゙!!!」

守屋「な、奈々未ィ!!!」

一瞬逃げる足が止まってしまう。
守屋が駆け寄って肩を貸そうして来たが断る。

米谷「だ、大丈夫や……!走、れる――」

一人立ちし、遅れながらも守屋について行く。
米谷はスナイパーライフルを全弾撃ち放つ。

平手は川の中に入り、潜って躱される。

長濱「!!今のうちに逃げるよ!!!」

平手が水中にいるうちに振り返らず逃げる。
米谷は痛みを押しスナイパーライフルを杖にして走る。

 

666: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:43:30.44 ID:3h6wViGud0909
守屋→七原
長濱→川田
ということはよねさんがヒロイン枠

 

667: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:44:09.04 ID:mDlupBwFa0909

守屋「クソ!!どうして、なんで生きてるのお!!?」

長濱「あの時!!川下りで平手を先に行かせた瞬間には、やつはすでにカヌーから脱出してたんだ!!」

守屋「そ、そんな!!?」

ブレザーだけを残して、カヌーの中に入っていると思い込ませたのだった。
平手は川を渡り切り、疾走して追いかける。

長濱「追いついたら殺される!!撃ち返して!!!」

再び森での銃撃戦が繰り広げられる。

守屋「ねる!もう弾がない!!これが最後のマガジン!!!」

長濱「……!!!」

三人が持っていた銃はスナイパーライフルと拳銃の二丁。
対して平手が持っている銃はスナイパーライフル、機関銃、拳銃の三丁。
機関銃を持っている時点で一枚上手だ。

 

668: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:47:38.96 ID:mDlupBwFa0909

長濱「あと少し……っ、全弾使い果たすまで撃って撃って撃ちまくって!!!あの子を止めて!!!!」

守屋「あらあらあらあらあらあっらー!!!」

咆哮しながら最後の弾倉を撃つ。

平手「1……、2、3……4。……5。6――」

しっかり数を数えて木から飛び出し、スナイパーライフルをぶっ放ちながら追いかける。

米谷「くっ――」

守屋(!?あの子もマシンガンはなくなった!でも、こっちはもう――)

まだ向こうには奪われた拳銃も控えている。
何よりも最初にして最終兵器の日本刀を持っている。

守屋「ねる!!弾がなくなった!!!どうすんの!!!?」

長濱「……弾がないって?まだ”危なっかしい計画”は終わっとらんよ……!!」

絶体絶命の状況なのに若干笑みを浮かべる。

 

669: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:51:28.88 ID:mDlupBwFa0909

守屋「……っ?」

もう逃げるだけしかできず終わりかと思ったら森が開けた場所に出る。

守屋「!!ここは――」

地図に乗っていた扇状の場所にたどり着くと、そこには野球場になっていた。
外野は若干狭いが草が生えっぱなしで、内野は土になっておりマウンドは盛り上がっている。
誰が何のために作ったのか知る由もない。知りたくもない。

長濱「真っ直ぐ進んで!!」

長濱の声はするが見失ってしまった。

米谷「行くで!!」

その言葉を信じ、センター後方から真っ直ぐホームに向かって走る。
数秒後、バッスクリーンが光ったのを感じた。

米谷「伏せて!!!」

本日何度目かの伏せに従い、マウンドへ飛び込む。

 

670: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 18:57:03.33 ID:mDlupBwFa0909

弾丸は盛り上がっているマウンドに当たり土が弾けた。

守屋「うっひ……!!」

米谷「をっふ――」

マウンドは盛り上がりが高く、窪みは異常に深くなっており、戦場の盾の役割を果たす。
平手はバックスクリーンから姿を現し、前進しながらスナイパーライフルを一発ずつ撃ってくる。

守屋「くっそ……このままじゃ――」

米谷「……っ」

二人は身を寄せて、狙撃を耐える。
撃ち返さないことからもう弾丸が尽きていることに気づかれている。

平手「…………」

平手は全弾撃ち尽くすとスナイパーライフルを銃を捨て、懐から拳銃を取り出す。
セカンドベース付近まで近づいたところで、マウンドに隠れている二人の姿が見え射程圏内に入る。

守屋(お、終わった――!!)

米谷「~~~~!!」

ぎゅっと目をつぶり、死を覚悟する。

 

671: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:02:26.25 ID:mDlupBwFa0909

平手「!」

平手は長濱がいなくなったことに気づく。
殺気を感じ左後ろへ振り返ろうとした瞬間、グラウンドに銃声が響いた。

弾丸は平手の髪の毛もろとも頭を吹き飛ばし、そのまま前方へ倒れ土煙が舞う。

守屋「え」

ライトから姿を現した人物を見て叫ぶ。

守屋「んんんねるぅ――っ!!」

その手には齋藤の火縄銃を持ち、硝煙が上がっている。

長濱「ふ――冬優花ぁあああああッははぁああああああん!!!」

齋藤を殺した犯人をこの手で仇討ちでき、喜びに似た感情で感涙を流す。

守屋はライトの長濱の元へ駆けつけて抱き締める。

 

672: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:07:21.44 ID:JNufJU2F00909
正真正銘きたかこれは

 

673: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:12:46.29 ID:MzN+uBJl00909
うおおおおおおおお

 

674: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:15:42.87 ID:ny81pSZw00909
現状はかなり凄惨だが、凄く興奮する。

 

676: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:21:53.97 ID:mDlupBwFa0909

二人は抱き合って泣いている。

米谷(ここに来たのは冬優花の火縄銃で狙撃するため。不意打ちでなければヤツは倒せなかった――)

火縄銃を落ち着いて撃てるほどの距離と時間を稼ぐ必要があった。
陽動して引き付け、後ろから狙撃した。

平手は齋藤を殺した際に火縄銃を持ち去らなかった。
発砲するのに時間がかかるため実戦向きではないと判断していた。

三人は今にも千切れそうだった綱を渡り切り地に足がついた感覚が戻る。

米谷(平手……、たった一人でようここまでやってくれたな――)

さすがの平手も頭を吹っ飛ばされたら生きてはいられないだろう。

徐々に土煙が晴れ、飛ばされた頭片を見る。
欠損部など見たくもないが目に入っていた。

 

677: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:30:05.18 ID:mDlupBwFa0909

米谷(……え――か……かつら?なんで、こんな島に落ちて……?)

頭片かと思っていたそれはかつらだった。
誰のものだ。そもそもいつからあった。
いきなり空から振って来るはずがない。
頭を吹き飛ばした瞬間からあるということは、つまりそれがかつらだったのだ。

真実にわざと遠回りしてたどり着く。
一瞬で全身の汗が吹き出し、ライトにいる二人に向かって叫ぶ。

米谷「に、逃げ――……」

二人はそのことに気づかず平和的に会話をしていた。

長濱「結局これは使わずに済んだか……」

守屋「ん?何それ?」

長濱「試しに予備の――……」

その時、再びグラウンドに銃声が響く。

 

680: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:33:42.67 ID:mDlupBwFa0909

守屋長濱「――!?」

世界が停止した気がした。
全てが終わったと思ったのに闘いの合図とも呼べる銃声が鳴ったのだ。

米谷「あがっ……!!!」

米谷は脚を撃たれて大胆に倒れた。

守屋「なっ、奈々未…………?」

長濱「ななみ――」

米谷の代わりに立ち上がっていた人物がいた。
その手には銃が握りしめて米谷に銃口を向けていた。

守屋「ゅ……友梨奈あぁん!?!?!?!?」

再び幽霊を見たようなに驚き震えあがる。

 

683: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:39:46.56 ID:mDlupBwFa0909

まだグラウンドに落ちている頭と思しき物体を見て理解する。

長濱「ぼ、防弾メット――!?」

長濱の狙撃を防弾メットによって防いでいた。
防弾メットは飛ばされ、勢いで倒されたが外傷はない。

守屋「ッ、よくも奈々未をぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

平手が生きていることを二の次に米谷が殺されたと思い込み怒りが爆発する。
怒りの咆哮とともに分校で澤部に見せた猛進で突っ込む。

長濱「茜ちゃあんッ!!!」

無策で挑む守屋に制止の声が届かない。

平手「…………」

猛烈に燃える守屋に対し、平手は冷たい目で躊躇なく狙いを移し引き金を絞る。

 

684: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:43:43.87 ID:mDlupBwFa0909

守屋「おぉおぉおおお――ゔッ……!!!」

腹に穴が開き、猛進の勢いがあまって派手に転がりセカンド定位置で倒れる。

長濱「ああっ……!!アカネ――!!!」

守屋「カ、ハ―――――」

守屋は項垂れて、動かなくなった。

長濱(弾を――、ダメだ。弾を詰め込んでる暇なんてない……。負けたんだ――)

火縄銃はたった一発の発砲に時間がかかる。
あそこで決めるはずだったのでもう何の役にも立たない。

長濱「ふーちゃん…………っ」

火縄銃を握りしめて、目を閉じ死を覚悟する。
すぐに最後の銃声が鳴り響いた。

 

686: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:49:21.43 ID:mDlupBwFa0909

長濱(ごめんね、ふーちゃん。ねる負けちゃった、がんばったけど……。褒めてほしい――、……?)

撃たれたはずなのに痛くない。
痛みがないまま死んでしまったのか。
それにしては生きている時と何が変わった?

そっと目を開けると、まだ現世に留まっていた。
身体は無傷で目の前の光景を見て状況を知る。

長濱「えっ……?わッ――」

平手の顎が拉げて、赤い髭を垂れ流している。
拳銃は草むらに落ちて、白目を剥いて意識を失い膝をついて仰向けに倒れた。

こちらはもう弾切れしていたはず。
自分で自分の顎を撃ち抜いたのか。
そんなはずはない。では誰が――。

??「私が――……」

長濱「あっ!!!!」

米谷「っ……!」

 

688: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:53:04.76 ID:W0ZMq5UlM0909
てち不死身すぎw

 

689: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:53:34.85 ID:mDlupBwFa0909

守屋「みんなを守る――!!!!」

長濱「茜ちゃんっ!!!!」

米谷「茜……!」

守屋の握る銃から硝煙が上がっている。
腹を撃たれたはずの守屋は生きていた。
見ると少女誌”リボンスペシャル”を抱えていた。

米谷(意識外からの――!!)

今度は守屋が膝をつき空に泣き叫んでいた。

守屋「うわあぁああぁぁああああああぁああああああぁあんんん!!!!」

米谷は倒れた状態から守屋に向かって親指を立てる。
米谷が生きていたことでさらに涙を流して喜ぶ。

長濱は内野に移動し、米谷の元へ行く。

 

690: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:54:31.12 ID:JnMlfPYF00909
まさかのりぼん

 

691: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:55:18.93 ID:W0ZMq5UlM0909
りぼんスペシャルwwwwww

 

692: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 19:55:39.53 ID:8WzdggTPd0909
これで生きてたら引く

 

694: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 20:02:41.40 ID:mDlupBwFa0909

長濱「ふう……。奈々未さん、大丈夫?」

米谷「めっちゃ痛いが、急所は外れてる……。それより、もう全弾撃ち尽くしたんやなかったんか?」

長濱「茜ちゃんの銃弾を作ってみたの。あの材料がまだ余ってたから見よう見まねで一発だけね」

米谷「全く……とんでもないことをするな」

長濱「時間はたくさんあったからね……。発射できるかどうかわからなかったけど、撃ててよかった――」

米谷「そういうことか……。ありがとう、また助けられた」

長濱「ううん、平手をちゃんと引き付けてくれてありがとう」

二人は互いに礼を言い合う。
思い出したかのように守屋の方へ向き問いかける。

長濱「ところで、その雑誌は何?」

守屋「これは――……」

1000頁を超える雑誌を見せる。
表紙の可愛らしいふわふわのイヤリングを着けた少女の巨大な目に穴が開いていた。

 

697: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 20:18:41.63 ID:mDlupBwFa0909

もう一つ脳天に穴が空いており、そっちは長沢が戦った際のものだと判る。
人を殺すのは二人目で覚悟していたことだが気持ちが落ち込みながらも話す。

守屋「菜々香に、助けられた……。ずっとお腹に入れてたの忘れてたから本当に死んだかと思った……」

長濱「なーこちゃんの……」

守屋「さっき、ねるが見せてくれた弾丸がなければ全滅した……。本当にありがとう」

長濱「全く、奈々未さんが撃たれて猪のように走ってっちゃうんだもん。弾を使って!って思っとったよ」

守屋「ごめん……つい――」

米谷「これで今度こそ終わりや。顎を撃ち抜かれて生きていられるはずがない――」

同じような台詞をつい先刻も言ったような気がしはっとする。

平手は種も仕掛けもなく顎が欠損しており動かない。

彼女は大人たちの思惑通りにならないために態度の悪いふりをしていた。
自分は他とは違うんだぞと言うのにそれが一番分かりやすかった。

世間からは意味解らながられたが、解ってもらえないことを望んでいた。
ただカッコイイしか言わないだけの人こそ何も解っていなかった。
理解しているつもりですかしてる1のような人が滑稽にさえ思った。

 

698: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 20:23:05.28 ID:mDlupBwFa0909

彼女の行動は一見難解にも見えるが単純にして統一性がある。
それはここでも例外ではないはずだった。
平手友梨奈がゲームに乗り大人たちに従ったのは何故か。

ゆっくりとノーハンドで仰向けの状態から上体を起こし立ち上がる。

平手「……わ、だじ、が――」

三人「!!!???」

倒したと思ったら生きてました展開は三度目を迎える。
慣れずはずもなく驚きは回を増すごとに大きくなる。
守屋の殺人によるブルーは吹き飛んで切った。

守屋「ゆ、友梨奈っ!!?」

米谷「また――」

長濱「なん……で……?」

平手「みん、なを゙…………だすげ、なゐど……!!みんなを゙、まもる゙……!!」

顎からおびただしい血を流しながら直立している。

 

699: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 20:26:55.73 ID:mDlupBwFa0909

銃創は致命傷にならず、喉は無事で呼吸に問題はなかった。

平手「おどなだぢに゙……じばい゙、ざぜない゙!!!」

平手は大人たち延いてはこの腐りきった世界から愛するメンバーたちを解放するために凶刃を振るう。

腰に差している日本刀を抜刀する。
次の瞬間には平手の姿が消えていた。

守屋(き、消えた――!?)

すぐに目の前に現れ、刀を天へ掲げている。

守屋「え」

米谷(瞬間――移動!!)

刀をそのまま守屋へと振り下ろす。

長濱「危ないっ!!!!」

殺人タックルの要領で守屋を突き飛ばす。

 

705: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:07:36.75 ID:mDlupBwFa0909

守屋「ぎふっ!!!」

長濱「ふぐぃ――」

長濱の苦いうめき声が聞こえ、振り返ると背中が赤く染まっていた。

守屋「んねっ、ねるぅ――!!!?」

タックルされ腰を痛めたが、長濱の怪我は比ではない。
庇った長濱の背中は深く斬られて血がブレザーに滲む。

平手「お゙わ、ら、ぜる。ん……だ!!」

長濱へとどめを振り降ろす。

米谷「ああッ!!!」

刃が遅く感じ、いよいよこの時が来たと覚悟する。

長濱(ふーちゃん……。ふーちゃん…………!!)

避けもせず斬撃を受け入れるかのように両手を外へ伸ばす。
猿腕になり、笑顔で刃を迎い入れる。

 

707: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:10:39.90 ID:mDlupBwFa0909

米谷「ネル!?」

長濱「おいで」

胸から腹にかけて斜めに斬られた。

長濱「――っ」

守屋「んんんねるうぅうううううううううううぅうう!!!!!!!」

平手に返り血や吐血その他が全身に振りかかる。
いつの間にか膝立ちから立っており身体は後ろではなく前に傾き、一瞬で刀を振り切った後の腕もろとも平手を強く抱きしめる。

平手「ん゙――!?」

長濱「捕まえた」

守屋「な、何やってんのおっ!!?」

米谷「ねる……まさか――!」

致命傷を受け、死に匹敵する激痛を我慢して逆に抱き締める力に変換していた。

 

709: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:16:14.33 ID:mDlupBwFa0909

平手「……っ!!」

平手は万力に挟まれているようで、回されてる腕を解くことができない。
それより化学薬品のような臭いに気がづく。

長濱「……気づいた?いい臭いでしょ。あ、昨日お風呂入っとらんけど」

船へ襲撃しに海水浴をして、その後は米谷の治療を受けタオルで全身を拭いてくれたようだ。
そんなことはどうでもよく、二人は全身にアルコールをかぶっていた。

長濱は胸に仕込んでいた液体を斬られたら飛び出すように仕組んでいた。

長濱「この手は……絶対離さん!!」

意思は強く、より力が強まり平手を離さない。

米谷(次から次へと――ねるってやつは……!!!)

島に来て、数々のモノを造り戦っていた。
22世紀から来たタヌキロボのように4次元ポケットを持っているのではと疑うほどだ。

長濱「これで、おしまい――」

右手に持っている火縄銃で用いたチャッカマンを着火させる。
火がアルコールに引火し、二人をたちどころに炎上させる。

 

713: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:24:01.85 ID:mDlupBwFa0909

平手「あぎょぃえええちょおおおおええええええあああああおおおおおおおお!!!!!!!!」

守屋「ねるーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

炎の熱さに暴れる平手を腕の中で必死に抑え込む。
斬られた血は止めどなく流れ続ける。

長濱「奈々未ィイイ!!!」

米谷「!!!?」

長濱(このままじゃ、振り解かれる……!!だから――)

近くに落ちている火縄銃を拾うようにアイコンタクトを送る。
瞬時に読み取った米谷は守屋へ伝える。

米谷「茜っ!!!火縄銃や!!!!」

守屋「!!!あん!!!」

不死身の平手は炎上攻撃で倒せられないかもしれないと学習する。
足を怪我している米谷に変わり全力ダッシュで奪取する。

 

714: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:26:42.33 ID:mDlupBwFa0909

生きたままその身を焼く炎によって闇落ちした平手の瞳に生気が吹き返る。
血だらけのねるに万力のような力で強く抱きしめられ、炎に包まれている。

平手「あ――熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いぃいいい゙い゙い゙いいいいひ――!!!!!!!」

耐え難い熱に絶叫せずにはいられなかった。

長濱「やっと……起きた?」

平手「!!ね、る――!?」

どうして目の前の長濱は涼しそうな顔をしていられるのか。

火遊びをして火の穂先に指を近づけただけで耐え難い熱さに指を引っ込めるのに、それを直に全身で感じている。

何で一緒に自分たち自身でキャンプファイヤーなんかしている。
使える木々は周りに生い茂っているのにどうしてそれを使わないのか。
そんなことはどうでもいい。解らなくていいから。

平手「ね、る……!!お゙願い゙……。離……じ、で……!!」

長濱「ダーメ♡」

 

717: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:29:11.64 ID:mDlupBwFa0909

守屋「奈々未ィ!!」

米谷「よ――し!!」

守屋は火縄銃を持って、二人が燃えているセカンドまで戻って来た。
扱い方を知らず米谷の指示で弾を詰め込み、長濱自身の火を借りて着火させる。

長濱「茜ちゃん撃って……!!!ねるを――早ぐぅうううううううっ!!!」

平手「まッ、待でぇええええッ!!!!!!!」

長濱「な……に?」

平手「死にたくない!じにだぐない゙!!ジニダクナヰ!!!死にだぐなぁあああああああああああぁいっ!!!!!!!!!!!」

殺戮アンドロイドはここに来て年齢相応の餓鬼みたいに泣きわめく。
唯一動かせる頭をヘッドバンキングする。
前へ振った際に長濱の顔面を強襲する。

長濱「~~~~ッ!!」

 

719: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:32:06.69 ID:mDlupBwFa0909

守屋「ねるぅっ!?」

地味な鈍痛を感じ、涙と鼻血がこぼれる。
それでも平手を抱きしめる腕を緩めることはない。
腹と背中を斬られた傷や全身を撫でる炎の熱さに比べればどうと言うことはない。
と言いつつもやはり頭突きもかなり痛かった。

長濱「……っ」

もう喋るのもしんどく、歯を食いしばりながら二人に視線を向ける。
米谷はその視線で全てを察し、守屋に伝える。

米谷「ねる……っ!!茜!!!!平手を撃てッ!!!」

守屋「今楽にしてあげるね、ねるっ。そして……友梨奈ァアアアアアアアアアアアッ!!!」

平手「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ僕は嫌だあああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

長濱「一緒に逝って、あげる……からっ――地獄まで……!!」

自分の死を悟る平手は業火に焼かれながら最期の言葉を遺す。

 

721: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:36:56.80 ID:mDlupBwFa0909

平手「!!ぐっ……。あ、りが……どゔ。ね゙る――あと、うっ……ぁあああああああああああぁああぁぁあああああああああああぁぁああ――」

最期に守屋に視線を向けたが、炎に熱さに耐え切れず空を仰ぎ絶叫する。

礼を言われた長濱はにこっと微笑んで応える。

守屋「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

咆哮が共鳴し、発砲音が全てをかき消す。

弾丸は平手友梨奈の後頭部から侵入し、そのまま長濱ねるの眉間を貫いた。
死体はゆっくりと傾いて倒れ、まだ燃え続ており灰は空へと舞う。

米谷「…………」

二人がこんなに密着してはしゃぎ合っているのが懐かしく、在りし日を思い出す。

米谷「ねる、平手。安らかに休み――」

守屋「うぅ……うゎああぁあああああああああああああああん――!!!」

二人を葬った守屋は何度目かの号泣をする。
人生で一番の大号泣を見せ、空が暗くなるまで泣き続けた。

残り2人

 

722: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:37:39.09 ID:JNufJU2F00909
やだ…どうなるの…

 

724: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:39:08.87 ID:YbKAc6L400909
まあ黒幕はウェスカーなんですけどね、初見さん

 

727: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 21:58:40.31 ID:3h6wViGud0909
ここまでいろいろあったなあ

 

729: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 22:15:24.62 ID:laHVMmqY0
澤部を、澤部をこのまま生かしておいちゃダメだ!

 

734: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 22:51:26.67 ID:FHN1DdtL0
いやー面白い

 

739: 名無しのまとめラボ 2018/09/09(日) 23:06:04.75 ID:mDlupBwFa

ご支援いただきありがとうございます!
今日中に終わらなくて申し訳ございません……
途中で守屋「ぴょん!?」(富山)入れてふざけてすみません
水曜夜に完全に終わらせてよろしいでしょうか。

武器一覧
1石森 斧(棒)
2今泉 クナイx2
3上村 手裏剣x2
4尾関 手榴弾x2
5織田 大鎌(棒)
6小池 鈎爪x2
7小林 サーベル メガホン
8齋藤 火縄銃 チャッカマン
9佐藤 トンファーx2
10志田 弓x矢
11菅井 鎌x鎖
12鈴本 ナイフx2
13長沢 ヌンチャク リボンスペシャル
14長濱 サブマシンガンx2
15土生 槍(棒)
16原田 青龍偃月刀棒)
17平手 日本刀・防弾メット
18守屋 拳銃x2
19米谷 十手・簡易レーダー
20渡辺 ロケットランチャー 弾頭x2
21渡邉 スナイパーライフル スコープ
22渡邉 スナイパーライフル スコープ

 

772: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:06:07.90 ID:HVN35twia

最終話

守屋「うゎああぁあああああん……!!!」

マウンドで膝をつき泣き叫ぶ茜。
甲子園の決勝で負けたのではない。
持っている火縄銃でねると平手を撃ち抜いたのだ。

米谷「……」

18時の放送で土生と美波の死亡が発表されると同時に平手が奇襲して来た。

第一ラウンドは、山で銃撃戦しながら後退し予め用意していたソリで逃げ切った。
第二ラウンドは、川でボートレースし逃げながら誘い込み滝壺に落としたが脱出されていた。
最終ラウンドは、全弾撃ち尽くして距離と時間を稼いでグラウンドのマウンドまで意識を引き付けたところでねるが頭へ狙撃した。

米谷(”危なっかしい計画”はここまでだったが、ねるの狙撃は防弾メットで防がれていた……)

自分は脚、茜が腹を撃たれ、ねるが絶体絶命な時平手の顎が拉げた。
茜は腹にリボンスペシャルを忍ばせており、ねるの試作弾を撃っていた。

 

774: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:10:15.26 ID:HVN35twia

それでも平手は死なず、日本刀を茜に振るうもねるが庇い平手を抱き締めた。
診療所にあったアルコールを共にかぶり火を着けて炎上した。
平手は炎上にも耐え、ねるのロックが外される前に諸共に火縄銃で葬った。

ギリギリの綱渡りでねるを犠牲にしてしまったが、無策で闘っていたら全滅させられていただろう。

米谷「やれやれ……」

脱出する準備のため、武器をかき集める。
平手が落とした銃はまだ弾が残っていたはずだ。

銃を拾いに行こうとした瞬間、鳴るはずのない銃声がダイヤモンドに響く。

米谷「――?」

闘いは終わったのに誰が発砲したのか。
この瞬間島に生き残っているのは自分と茜の二人だけ。

米谷(まさか、平手が生きて――!?)

見ると二人は抱き合ったまま死んでおり、燃え盛っていた炎は鎮火して死体は黒くなっている。
自分の持つスナイパーライフルは弾切れしている。
まだ弾のある銃を持っているのは――。

 

775: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:11:05.73 ID:HVN35twia

米谷「ゔっ――」

遅れて気がつく、腹に穴が空いていることに。
不思議と痛みはなく、浮き上がるような感覚がする。

??「生き残るのは……」

米谷「!?」

声が聞こえ振り返ると真っ直ぐ銃口を向けられていた。

守屋「この私ィ!!!」

茜は泣きながら笑っている顔が狂気じみていた。
弾箱からまだまだある弾丸を火縄銃に詰め火を着ける。

米谷「あ゙……、が、ね……!?」

仲間から撃たれるとは思わなかった。
最後の最後で裏切られたのか。

脱出なんか危険なことはせずとも、目の前の一人だけ撃てば済む話だ。

守屋「勝利いただきま~す♡」

米谷「や、め――――」

再び銃声が鳴り響き、目の前が真っ暗になる。

 

776: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:14:51.31 ID:HVN35twia

21:00

米谷「ハッ――!」

目が覚めると、天井が広がっていた。

米谷「夢…………?」

三時間前決着をつけたグラウンドで茜に撃たれる夢を見ていたようだ。
悪夢は悪くない傾向だと聞くが、最後の最後で裏切られたら堪ったものではない。

米谷「ふう……」

平手戦の後は二人で荷物をまとめて診療所に戻った。
治療を終えて、茜に休憩を促す。

米谷『少し休んでて。準備しないといけないから』

守屋『え!?何か手伝おうか?てかどうやって島から脱出するの?条件の1つ目はクリアしたよね?』

米谷『そうだね。今私たちのチームが最後まで生き残っている』

守屋『2つ目の条件はその”最後まで脱出方法は教えない”だよね?今がその時なんじゃないの?』

米谷『まだや。正確にはゲーム終了1時間前、23時になれば教えれる。だからそれまでは体力を温存しとって』

守屋『うん、わかった』

茜は23時にウォッチのアラームをセットし眠りに就いた。

 

778: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:19:08.14 ID:HVN35twia

自分も身体と脳を休めるために一時間程休んでいた。
茜より先に起きてしなければならないことがある。

屋外に出て、浜辺に出る。

米谷「さてと――」

海の向こうを見てから、浜辺に寝っ転がり天を仰ぐ。

米谷(東京と違ってよく星が見える。あれがデネブ、アルタイル、ベガ……、わずかに高いか)

降り注ぐ星空を眺めて、二日間あったことを振り返る。

米谷「0」

三日前、冠番組の収録があってお馴染みのテレビ局で2本撮りをした。
最後に、休憩を挟み別スタジオで『避雷針』を撮り行くためバスに乗り込んだ。

みんな眠っていたようで、分校で目を覚ました。

 

779: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:21:39.76 ID:HVN35twia

米谷「1……」

澤部が現れ、ここが島で私たちにたった一人になるまで殺し合いをしろと言った。

詩織は殺し合いに反対をすると澤部にチョーカーを起爆させられて首を飛ばされた。

絶対に外せない首輪、制限時間48時間、刺客の転校生がいる限り殺し合いをするしかないと脅される。
プレイヤーには少しの飲食料、二つの武器、ウォッチが支給され一人五分おきに分校から出された。

分校を出ると道端に虹花が斬り殺されていた。後に分かったが平手に殺されたのだ。

森の中からスナイパーライフルの銃声が聞こえ転校生に葵が殺された。

米谷「……2」

海の方で爆発音が聞こえ放送の順番的に尾関が死んだ。
怖くて自決したのか、否きっと勇敢に転校生と戦っていたのだろう。

朝になり、茜はねると冬優花に遭遇した。
南の山頂でゆいちゃんずの二人が休戦を呼びかけ、茜が駆けつけた。

 

780: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:25:01.19 ID:HVN35twia

米谷「3……」

茜が山頂に着くと誰もおらず、血の跡を追っていくと瀕死の小林を見つけた。
小林は死ぬ前に平手に襲われ今泉を逃がしたことを教えてくれた。

拠点にしていた場所に戻ると、そこには理佐の顔をした転校生がいてスナイパーライフルを撃って来て逃げた。

ねると冬優花は北の山へ移動中に平手に襲われ、マシンガンが奪われ冬優花が殺された。

米谷「4――」

夕方、茜は何時間も森に潜んでいたが友香に会いたく行動すると平手に遭遇する。
小林の仇を討つべく銃を撃つも右腕を斬り落とされて鬼ごっこをする。

逃げている最中今泉に助けられ、命辛々診療所までやって来た。
そのすぐ後の放送で今泉の名前が呼ばれたので、平手に殺されたのだ。

 

781: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:30:20.34 ID:HVN35twia

米谷「5…………」

死にそうな茜を診て、輸血するために虹花の元へ行き血液とチョーカーを手に入れるも上村に接近を許してしまう。
その後に来た平手のマシンガンに襲われ、上村は殺された。
上村の指差しと虹花が盾になってくれなければ自分も殺されていたところだった。

爆発とスナイパーライフルの銃声の戦闘音が聞こえた。
後に茜がバラバラになった梨加と菜々香を見つけたと言っていたからおそらくこの時転校生に殺されたのだ。

茜に血を届け、しばらくして目を覚まし再び友香を探しに外へ出た時、二人目の来客土生が訪れた。
友香と美波を探す土生に探知機を託し、脱出の話を持ち掛け落ち合う約束をし三人は散り散りになる。

その後、船で銃撃戦の音が聞こえ、黒い煙に包まれる。
ねるがゲームを止めるために運営側に奇襲していたが失敗し、ボートに乗って近くの浜辺に流着し治療した。

 

782: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:33:05.09 ID:HVN35twia

米谷「………6」

茜から聞いた話を時系列に直すと、灯台には友香、鈴本、志田、理佐がいて、そこへ転校生が来た。

灯台の中には友香が背中を刺され、鈴本が頭を撃たれて死んでいた。
灯台の外には志田と転校生が抱き合うように転落死していた。

米谷「7」

茜は一人立ってスナイパーライフルを持っている理佐を撃ち殺した。
転落死していた転校生の理佐と同じ顔を見て全てを理解した。
後の放送でひらがなの美穂が呼ばれてパズルが組み合わさった。

次は織田に会ったが平手が仇だと知ると飛んで行ってしまった。
後の放送で名前が呼ばれたことから返り討ちにされた。

無事に茜は私とねるに合流し、土生と美波を待つ。

米谷「8」

残り6人となり銃声が聞こえ、最後の放送で土生と美波の名前が呼ばれたことから平手に殺されたのだ。

 

783: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:35:13.17 ID:HVN35twia

米谷「9」

平手との最終決戦は三ラウンドに渡る逆転に次ぐ逆転の末、ねるが犠牲となった。
ねるは死を覚悟して冬優花の仇である平手を抱き締めて動きを封じ自分もろとも火を着けた。
とどめは茜が燃え盛る二人同時に火縄銃で逝かせた。

米谷「10…………………」

現在島に生き残っているのは私と茜の二人だけ。

考えられる選択肢は4つある。

1.茜を殺して優勝する。
2.茜に勝ちを譲り、自殺または殺されるか。
3.制限時間を待ち、運命を共にする。
4.脱出して一緒にアメリカに行く。

あり得ないものもあるが、実質の選択肢はすでに決まっている。

米谷「やるしかないか……」

覚悟を決めて起き上がり行動を始める。

 

784: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:39:38.07 ID:HVN35twia

23:00

守屋「ねえ!どこまで行くの?」

米谷「……。もうすぐだから」

守屋「…………」

ゲーム終了1時間前、米谷先導で森の中を歩く。
もう1時間すればチョーカーが爆発することになるが、黙って米谷の後をついて行く。
しばらくして暗い森から月明かりの元に出て海が一望できるところに出る。

米谷「ここや」

守屋「……。こんなところに何があるの?どうやってここから――?」

米谷「その前に、うちらがチーム8に負けてるって話をねるがしてたよな」

守屋「え?うん……。それがなんの関係があるの?」

米谷「はっきりさせとかないといけなくて。2016年時点ではうちらはAKB48に勝っていたんだ」

守屋「エ、AKBさんに?!」

 

785: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:48:49.37 ID:HVN35twia

米谷「売上は置いといて、勢いだけならあの乃木坂さんをも凌いでいた。それは愛があって、やる気が満ち一生懸命で、まだグループが新しかったから」

守屋「あ、新しい……?」

米谷「ねるの言う通りならチーム8がうちらよりも実質的に優れていれば単独デビューしているはず。でも、AKBという古いグループの1チームとして編成されてしまったからこそ知名度が低くうちも知らんほどや」

米谷「次々とできる48グループも結成されてからしばらくの間が一番の輝きを見せる。人はそれに惹かれる」

守屋「みんな若い子や新しいものが好きなんだね……」

米谷「それは私たちも同じで恵まれた楽曲や環境を与えられ、前作を超えなければならないことを義務付けられた。でも超えられなくなりアホみたいなアーティスト芸で誤魔化すようになった」

守屋「う、ん…………」

 

786: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:51:46.53 ID:HVN35twia

米谷「心臓である平手がやる気を失いグループは落ちたが、それに何も言えなかった。いや言わなかったんだ」

守屋「うん……」

米谷「漢字欅がダメになりグループを殺したのは、私たちが望んだ事だったのに……」

自分たちでグループを殺そうとしておいて、いざ大人たちに殺されそうになって嫌がるなど矛盾している。
今更ねると同じようにダメになった理由を語ったところで何の意味もなさないことは知っている。

守屋「そろそろ教えてよ。そんな話をするためにわざわざここに来たんじゃないんでしょ?」

米谷「せやな。まずは、ウォッチを見せてくれ。確かめなきゃならなことがある」

守屋「ああ、うん!!」

米谷はウォッチを受け取ると、自分のと見比べて弄っている。

 

787: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:54:54.98 ID:HVN35twia

脱出の準備をしているのかと思っていると傍らにあるものを見つける。

守屋「?」

月明かりの元から暗い木の陰に入る。

守屋「ね、ねえっ奈々未?」

地面に穴が空いていた。
覗くと底が暗く、深さ2メートル以上はあった。

守屋「何この穴!ここに何か埋めてたの?」

米谷「埋めるのは、これからや」

守屋「――え?」

米谷「初めに言ったよね、”最後の瞬間まで脱出の方法を教えない”って。こんな都合のいい話あるかって思ったよね?」

守屋「え。うん……正直思ってたよ。でも、それがどうしたっていうの?」

米谷「――だから……」

 

788: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:58:00.92 ID:HVN35twia

米谷が自分へ銃口を向けて言う。

米谷「あんたの負けや」

守屋「…………。なっ……、奈々未っ?」

米谷「…………」

守屋「へ……。ちょっと……何?嘘、だよね……!?」

米谷「嘘なわけ、ないやろ」

守屋「え――いや……いやいや!!約束したじゃん……?一緒にアメリカに行こうって……!!」

米谷「どうやって行く?」

守屋「!?ハァン!?だって、それは、奈々未が――いや、えぇ!?

米谷「私は大学へ行く。そして般若心境開いて、警察に入庁し刑事になって、微生物細胞の研究して、二児の母になって、旦那のノーベル賞授与式に出なければならない」

五人分の人生はありそうな内容を語る。

 

789: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 20:59:56.76 ID:sRwIJgHP0
自分って米さんのことかと思ったらあかねん目線の自分か

 

790: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:04:25.11 ID:HVN35twia

守屋「はあ!?何言ってんのか意味わかんないよ!!一緒にアメリカ行くんじゃなかったのお!!」

米谷「行けるわけないやろ。解らんやつやな」

守屋「へあっ!?だ、脱出するんじゃかなったのォ!?あれも嘘だったって言うのッ!!?」

米谷「だから私を信用した時点であんたの負けやって言うてるやんか。私はあんたを殺す。つまり優勝して堂々とこの島から出る」

守屋「じゃあ……何で助けてくれたのよ!!?私の命を救ってくれたじゃない!!!!」

米谷「こっちも助けられたよ。あんたとねるがいなかったら平手には勝てなかったからな」

守屋「くっ……、これまでの命はどうなるの!?」

米谷「失った命は元には戻らない。どうすることもできない」

守屋「ゆ、許せない!!私を騙して自分だけが生き残ろうとするなんて――!!」

 

791: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:07:34.03 ID:HVN35twia

米谷「どの道、茜が生き残ってもアイドルもできないし、夢だったアナウンサーになることもない。その手じゃね」

守屋「う――わああああああああ!!!!」

懐から拳銃を取り出して、米谷に向ける。
互いに同じ拳銃を向け合っている。

米谷「お得意の叫びはええけど、その銃に弾は入ってない」

守屋「ああっ!!??」

平手戦で全弾撃ち尽くし、ねるが作ってくれた試作弾は一発のみ。
それは平手の顎を撃ち抜くのに用いてもうない。

対して平手が落とした拳銃にはまだ弾丸が余っていた。

米谷「こっちは最後の一発だから外さへん」

守屋「ヂグジョ――!!!」

米谷「大丈夫やで。すぐみんなに会えるんだから」

守屋「なっ……奈々未ィ――――ッ!!」

最後の銃声が響き、守屋の胸に吸い込まれた。

 

792: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:12:43.14 ID:HVN35twia

船の管理室にて大人二人がその様子を見ていた。

黒服4「守屋茜の死亡が確認されました……」

澤部「フウ――」

澤部は少女のウォッチへ終了の放送する。

澤部『欅坂46″バトルロワイアル”――、これで終了でーす!』

米谷「…………」

澤部『さっすがだぞお~~よねさ――ん!よく頑張ったなあっ!!それじゃあ全ての禁止エリアを解除するので、港まで来てくださーい』

2018年”バトルロワイアル”=第四回大会 欅坂46 in 榮島
2月23日 23:15 終了――

港に着くと、拍手で出迎える澤部とそれを警護している黒服がいた。

澤部「いや~~すごいなあ!まさかよねさんが――」

米谷「そういうのいいから。早くシャワー浴びさせて」

優勝者 十九番 米谷奈々未(17)

 

793: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:19:36.93 ID:8V0/IUzPd
さて伏線をどう使うよ

 

794: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:21:59.10 ID:sRwIJgHP0
どうなるのよ

 

795: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:23:26.42 ID:HVN35twia

東京某所

少女たちの映像を視ている20人以上の業界人が集っていた。

土田「いや~みんなよく頑張った!俺が育てたんだぜ?」

指原「今年はなかなか見ごたえありましたね!ハラハラしましたよ~」

秋元「あの子たちにああいうのやらせたら間違いないと思ったのは間違ってなかった」

指原「ホントですよ!でも来年はどうしましょう?今年以上のグループなんてあります?」

土田「乃木坂は絶対やらせたくないし、48グループはどっかあんだろ?HKTは?」

指原「マジムリですから!」

 

796: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:27:48.81 ID:HVN35twia

土田「なんだよ~~びびってんじゃねーぞ!」

指原「あ!話題に出て来たチーム8の子たちとかどうですか?」

土田「ああ~ねると米さんが言ってたな。面白そうなのか?」

指原「いい感じの子たちですよ。あでもト〇タさんに怒られちゃいますよね」

秋元「いや、元々この企画をやらせるためだけにエイトを作ったようなものだ。47都道府県で誰が一番強いかってな。主力メンバーが高校生になるまで育ててたんだ」

指原「マジすか!?」

土田「何それ!すっげー面白そ~~~~!!!」

秋元「業務連絡。来年、第五回大会はチーム8」

 

797: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:31:22.96 ID:8V0/IUzPd
土田が黒で悲しい

 

798: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:32:23.13 ID:HVN35twia

船 控室

澤部「よう米さん!お疲れさんしーごーろくななはちぃお水♪」

ペットボトルの水を持って、米谷のいる控室に入る。
米谷はごろの悪いギャグのせいではなく、話したくもないといった感じで嫌そうな顔をしている。

米谷「……何か用ですか?疲れてるんでほっとしてほしいんやけど」

澤部「つれないなぁ!俺は嬉しいんだぞぉー!」

米谷「それより、まだ出航しないんですか」

澤部「あー今ちょっと黒服が忙しいからな。ところで――首ぃ、スッキリしたなあ!」

米谷「…………」

常時爆弾を首に巻き付けている状態で過ごしていたため、外した後の解放感は素晴らしかった。
危険エリアに入らなければ爆発しないとはいえ、身につけているだけで圧迫感で落ち着かなかった。

 

800: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:36:56.31 ID:HVN35twia

澤部「”コンタクト”も外したんだな?」

米谷「……ほんまに信じられへん」

怒りの目で睨み付けて来る。
運営はプレイヤーの右目にカメラ機能を有するコンタクトを埋め込んだことを教えていない。
先程黒服に教えさせ、その目からコンタクトを外れた。

澤部「ごめんな~!でもこれは遊びじゃなくてTVShowだからさ、やっぱ映像がないとな」

米谷「…………」

澤部「トイレとかはちゃんとAIが自動的にモザイク処理して100%隠れるようにしてあるから安心していいぞ~!まあアイドルはトイレしないか!」

米谷「最低……」

澤部「ところでさーよねさーん。なんでねると平手が死んだ後、すぐに守屋を殺さなかったんだ?」

米谷「……最後のチームメイトくらいは別れを言って、せめて墓に埋めたってあげたかった……」

 

801: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:41:34.70 ID:HVN35twia

島には寺院や墓地のマークがあり、過去三回の大会で戦死した少女たちはそこに供養されている。
せめて自分が殺める人間は埋葬したいと言う。

澤部「守屋が眠ってる間にズドン!でよかったんじゃないか?」

米谷「それは私の正義に反する」

澤部「ふ~~ん」

米谷「……何?」

わざとらしく納得すると気になったようなので本題に入る。

澤部「コンタクトの他に言ってなかったことなんだけどな、支給したウォッチ……あれ――心拍数なんかも測れるんだよな」

米谷「――!?」

澤部「体温や発汗量等いろいろデータとして見れてな、まあつまり嘘なんかついてたりすると判っちゃったりするんだなーこれが。すごいだろー?」

米谷「…………へえ」

 

802: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:45:20.70 ID:HVN35twia

澤部「で~何が言いたいかってーと、米さん。全部、気づいてた?」

米谷「そんなん、知るわけないやんか。なんでそんなことを教える?」

澤部「いやな、ねるはわざわざウォッチも外してこの船に襲撃しに来たんだ。危うく全滅させられるところだったんだぞー」

米谷「襲撃の話は聞いたけど……」

澤部「コンタクトは齋藤が殺されて溺れるくらい泣いて外れたみたいなんだが、故意に外したのだとしたらそれを米さんに伝えてるはず」

米谷「うちらの会話を聞いていたんなら分かるはずやろ。そんなことねるから聞いてへんわ」

澤部「お前らはそんなバカじゃないだろー。米さんがコンタクトのある右目を閉じて筆談でもされればこっちからは気づけないんだよ」

米谷「…………」

沈黙するということは実際にコンタクトを塞いで筆談していたことを意味する。

 

803: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:49:15.86 ID:HVN35twia

澤部「さらにねるは脱出の方法まで思いついていたみたいだったしな。米さんも。その方法を互いにどうやって打ち合わせしてたんだ?」

米谷「ねると打ち合わせなんかしてないから互いの脱出方法は知らない。ただ”最後の瞬間が来るまで教えない”という条件が同じだっただけで」

澤部「おおそうくるか!じゃあ米さんの脱出方法は何だったんだよ?」

米谷「私が今ここにいるってことはどういうことですか」

澤部「うんうん!!脱出方法なんて絶対あり得ないんだよ。最初は俺たちも嘘だと思ってたんだ――」

後半は悪ふざけを止めて、真剣に問い質す。
ウォッチを見せながら言葉を続ける。

澤部「でもな――米さんが嘘をついたのは、最後の最後でだ」

米谷「……最後?」

澤部「守屋と対峙した時、米さんからず――っと嘘の反応が出続けていた」

 

804: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:55:03.84 ID:HVN35twia

米谷「あ……?あん時……私が何を――」

澤部「自分で分かってるだろー!脱出だよ!脱出ぅ!!」

米谷「脱、出――……」

澤部「”脱出の方法がない”というのが嘘で、本当は脱出の方法があったんだろ?」

米谷「……」

米谷は冷酷な表情で回答する。

米谷「はい」

澤部「!!おいおいおいおい~~、えらくあっさりと……ええ!?」

まさか肯定されるとは思っておらず、驚きを露わにする。

 

805: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 21:58:08.96 ID:HVN35twia

澤部「こっちから聞いとてなんだけど、あの状況でマジで脱出できたのかあ!?」

米谷「だから”はい”。私は脱出方法を思いついていた」

澤部「エエッ!!!」

米谷「ねるに思いついて、うちに思いつかないわけがない」

澤部「じゃあなんで守屋を脱出させなかった?」

米谷「決まってるやろ。違反して殺されるリスクを負ってまでたった一人を生かすなんて合理的やない。だったらそのたった一人を殺して安全に生き残った方がいい。そう判断した」

澤部「さっすが米さん!!冷たいな~~~~」

米谷「普通やろ」

澤部「でも違うんだな」

米谷「……何が違う」

 

807: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 22:07:43.04 ID:HVN35twia

澤部「何もかも知っていた米さんは、俺たち運営側に気づかない”何か”をど~~~~にかしてその脱出方法で守屋だけは生かした」

米谷「――ハ?」

澤部「だから、たった一人生き残っているんだろ?今も、あの島で」

米谷「………………」

沈黙が続く中、米谷の額に汗が浮く。
長い沈黙の中米谷が喋るのをわざと黙って返事を待つ。

米谷「――馬鹿馬鹿しい。私は守屋を…………」

澤部「あるぇ~?おじさん、名探偵になったつもりだったかなぁー?」

米谷「……仮に守屋が生き残っていたとして、ルールなんてないゲームに何か問題ありますか?」

澤部「大ありだよ!ルールなら最初に説明しただろー!”たった一人の優勝者が決まるまで殺し合いをしてもらいます”って!!!」

 

810: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 22:14:01.36 ID:HVN35twia

澤部「自分でも違反したら殺されるリスクを恐れてただろ?」

米谷「たった……一人になるまで――」

澤部「見てもらいたいものがあるんだ」

タブレットを出してある動画を見せながら説明する。

澤部「これは米さんがつけていたコンタクトの映像だ」

米谷「…………」

先程、守屋と対峙した時の映像・音声が映し出される。
しかし、薄暗くて対面にいる守屋の姿はとても見えにくかった。

澤部「ついさっき米さんが守屋を撃った時の映像だ。つっても暗い森の中木の下の陰で暗くて見えにくい。そう、守屋の姿がはっきり見れないんだ」

米谷「……性能が悪いんじゃないん?私にはちゃんと守屋が見えてましたが」

澤部「おっかしいな~~。HDまではいけるんだけど、やっぱ4Kじゃないとダメか――」

 

811: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 22:22:42.16 ID:HVN35twia

米谷「だったら守屋のコンタクトを見ればいいだけの話やろ!」

澤部「守屋のコンタクトはな分校で菅井に殴られた時から外れてたんだよ。知ってんだろ?あとはウォッチさえ外れれば準備完了、だから最後預かったんだよな?」

米谷「………っ」

澤部「チョーカーは爆弾とGPS、それと心拍計が入ってるんだよ。つまりチョーカーのロックが外れればそいつは死んだという反応を送って来るだけなんだって!」

澤部「米さんさ石森の首をちょん切ってチョーカーを持ち帰り一人きりで解体しようとしてたよな?ずっと見てたんだぞ!結局諦めたと見せかけて分解の一歩手前まで来ていた。そうなんだろ?」

澤部「会話中に守屋自身にチョーカーを取り外させた。米さんが銃を撃ったタイミングに合わせて」

米谷「あれは……、自分が生き残るために保険として…………」

 

812: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 22:35:54.11 ID:HVN35twia

澤部「だとしてもあんな長時間かけて、米さんほどの賢児が解体の糸口を掴めないはずがない。あのチョーカー単純そうな作りしてるもんな~細いし」

澤部「それにねるのヤツはコンタクトを外してフリーだから何でもできるからな。ねると合流した米さんはコンタクトのことを聞いたがあえて残していた。最後に俺たち運営側を騙すためだけに」

米谷が小さく歯ぎしりをしながら訊ねる。

米谷「……どうやってそれを確かめる」

澤部「今黒服が守屋を埋めた土を掘り返してる。もちろんそこにチョーカーのGPS反応がある」

米谷「!!!――や……」

澤部「あん?」

米谷「やめて……。死者を冒涜するもんやない……」

澤部「たっはははははあ!!!がんばるな~~よねさーーん!」

米谷「くっ――……」

 

813: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 22:39:55.70 ID:sRwIJgHP0
澤部のセリフが脳内再生余裕で澤部腹立つ

 

814: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 22:43:56.71 ID:HVN35twia

澤部「もういいって米さん、終わりにしよう。そこに守屋はいなくて、チョーカーだけ埋まっているんだろ?そうなら二人とも殺さなければならない」

米谷「!!あ、あんた――!!」

銃を取り出して米谷へ向け、黒服からの連絡を持つ。

澤部「もうすぐ掘り返し終わるだろう。チョーカーだけならお別れだ」

米谷「待ってくださいッ!!!」

澤部「ん~命乞いかー?」

米谷「…………。せめて、茜と……みんなと同じ場所で――」

怯え切って肩を震わし泣いている。
全てがバレた以上、自分だけ船で死ぬたくないのだろう。

澤部「…………。わかったよ」

米谷の願いを聞い入れた。

 

815: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 22:48:50.87 ID:HVN35twia

ゲーム中、船で長濱を助けてあげられなかったことを悔いていた。
最期くらいはメンバーの純粋な意思を尊重して死に場所を選ばせる。
生かすという選択はないのにも理由があった。

澤部(米さんはどうにかしてチョーカーを外して守屋を生かしている。武器を持った守屋が俺を襲ってくるはずだ。どっから来るか――)

守屋に撃った弾丸が「最後の一発」と言っており、その銃を回収している。
まだ弾があるはずの火縄銃もわざわざ米谷が杖代わりに船まで持ってきている。
スナイパーライフルにもマシンガンにも弾はない。つまり銃はもく恐れることはない。

万一に備え米谷の背中に銃を突きつけた状態で先を歩かせる。
脚を撃たれた米谷にスコップを持たせて杖代わりにさせる。

澤部「もう少しだ」

 

817: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 22:56:46.32 ID:HVN35twia

タブレットを見ながら守屋のチョーカーのGPSが近づく。
最後の地にたどり着くと、黒服は穴を掘っていた。

澤部「おーいまだ掘ってんのかー?」

黒服「!澤部さん……。相当深く………穴を、掘ったようです………」

タブレットを見るとやはりGPSは穴の中にあるようだ。
守屋はチョーカーを外してバレないようそのために掘った穴に隠したのだろう。

澤部「ったくぅ~~どけ――!ちゃんと見張ってろよ~~」

へばっている黒服に代わりに穴を掘る。

黒服「ゼェ……ゼェ……」

疲労した黒服はチョーカーを外した守屋が奇襲して来ないか周りを拳銃で警戒する。
加えて米谷が逃げ出さないようにすぐ近くにいさせていた。

 

820: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:06:12.93 ID:HVN35twia

澤部「は~~~~」

こんなところに守屋がいないなんて解っている。
とっとと堀り返して、何もないのを確認してから米谷を殺そう。

大方米谷が帰ったら島に助けを送るつもりだったのだろう。
ずっと夜空を見上げていた時間があり星の位置を観察し続けて、覚えたまま帰って調べれば地球上のどの辺りに位置する島なのか判るはずだ。

そこまで澤部は見透かしていた。

澤部「!」

大分深くまで掘るとスコップが固いモノに当たった感触が伝わる。

澤部(やっとチョーカーが出て来たかー)

土をどかすと、チョーカーではない違うモノが中にあった。

 

822: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:09:37.75 ID:HVN35twia

澤部(ん?何だあ!?米さんのやつ、何を埋めた!?)

何が埋まっているのか気になりすぐ掘り進めるとそれは文字通り顔を出す。

澤部「も…………、り……や?」

穴の中に守屋茜がいた。

――なんで守屋がここにいる?
俺を殺すために、穴の中でずっと待機していた?
どうやって息をしていた?
チョーカーは首に着けたままだ。
信号は確かに死を送ってきていた。
米さんはチョーカーを外さず電磁場障害でも起こして壊したのか?
というか、そもそも、これは――。

彼女はごく一般的に土葬された屍となっていた。
散々裏をかき守屋は生きていると確信しており、高く積み重ねて来た推理は根底から崩壊する。

??「守屋茜、享年20歳。そして――」

 

823: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:21:17.85 ID:HVN35twia

澤部「!?」

上を仰ぎ見ると、穴の淵に少女が立っていた。

米谷「故、澤部佑。31歳」

米谷が冷ややかな目で穴の中の自分へ銃を向けている。
まだ生きているのに名前の前に故をつけられる。

澤部「ちょ、ちょっと待てええええええええいッ!!!!」

米谷「……何ですか?」

澤部「んんん何で守屋が死んでるぅうう!?」

米谷「何でって、殺したからですよ。私が、この銃で」

澤部「何!?!?――その銃どっから出した!?まだ弾丸があるのか!!?最後の一発って言ってただろー!!!!!」

米谷が持っていた銃はゲーム終了後回収した。ならその銃は守屋が持っていた銃なのか。
だとしたらもう弾はなんてないはずなのに、あたかもあるかのように向けているのか。

 

825: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:28:03.36 ID:HVN35twia

米谷「私がわざとあんたらに預けたのは最後に守屋が持っていた方」

今持っている銃は最後平手が落とし、元々は守屋が右手と共に斬り落とされた銃だ。

装填弾数は六発で内訳は以下の通り。
一発目は、守屋が平手へ撃ち躱される。
二発目は、平手が今泉の胸へ撃った。
三発目は、平手が米谷の脚を撃った。
四発目は、平手が守屋の腹へ撃った。
五発目は、米谷が守屋の胸へ撃った。

米谷「だから――これが正真正銘、最後に一発……!」

澤部「お――い黒服ぅ!!!こいつを殺せ――ッ!!!!」

黒服からの返事がない。
一生懸命穴を掘って気付かなかったが何かあったのか。

 

826: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:31:37.60 ID:HVN35twia

澤部「く、黒服はどうしたあ!?」

米谷「寝てますよ。もう二度と起きやしませんけど」

穴掘りで体力を消耗していた黒服は襲来するはずの守屋を警戒して外を向き、米谷に対しては無警戒だった。
その無防備の背中から心臓へナイフを刺した。

米谷(人の身体べたべた触りやがって……。殺す理由つくってくれてよかった)

黒服にとって大切な嫁入り前の身体に触れたことが死に値する行為となった。

ゲーム終了後、船に戻った時に身体検査され所持している武器は回収された。
そのことは解っていたから、近くの草むらにナイフと銃を隠して置いておいた。

澤部「何で俺に銃を向けてるぅー!!!何でぇえッ!!!?」

米谷「何で何でってうるさいやつやな。さっき自分で言うてたやん」

 

828: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:34:42.90 ID:HVN35twia

澤部「あぁあああん!?俺が……何を――?」

米谷「”たった一人の優勝者が決まるまで殺し合え”って。そのルールに従ってるだけ」

澤部「バカかよオイ!?俺はプレイヤーじゃねえぞ!!!!」

米谷「ここは戦場。自分以外の全てが敵プレイヤーやで」

澤部「ふざけるなハァ――!!!!!!!」

懐から銃を取り出そうとする澤部を上から威圧する。

米谷「動くな!」

澤部「ッ~~!なんで守屋のチョーカーが外れてないんだ……?おかしいだろ、石森のチョーカーを散々弄って――」

米谷「それも自分で言うてたで。絶対に外せないって。その通りやった。うちもねるでさえも電子ロックを解除するのは無理だった」

澤部「!!!?クソ―!!!!」

 

829: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:41:06.01 ID:HVN35twia

米谷「あんたの言う通り、守屋だけは生かして脱出したかった。でもリスクが大きすぎた。だから殺すしかなかった。そして、あんたも――」

澤部「ん待ってくれェ――!!!わかった!わかったから!!この仕事の報酬〇億!!!あと俺の預貯金〇億円!!!それみんなやるから!!!なっ!!?」

米谷「そんなもんいるか。必要ない」

澤部「うぐぅううううう!!!!俺だって上から言われて仕方なかったんだよおおおおおお!!!!」

米谷「上って誰やっ?」

澤部「つ――土田だよ!!!!あのクソさっぶいアゴに言われて仕方なくやったんだああ!!!」

米谷「土田さん……」

大方予想はついていたが、もちろん土田も単独でこんな大それたことはできない。

 

830: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:43:51.95 ID:HVN35twia

もっと裏には巨大な闇組織が関わっているに違いない。
澤部はただの端末であるが許すわけにはいかない。

澤部「俺だってほんとはこんなことやりたくなかったんだ!!!ほんとうにすまない!!!!頼むから許してくれええええええええぇええ!!!!」

米谷「さようなら、澤部さん。みんな、あなたのことが本当に大好きでした……!」

一筋の涙を零す米谷。
その綺麗な涙は澤部の心を浄化させた。
隙を見て懐の拳銃を出して撃とうと考えるのを止め、全ての罪を心から懺悔する。

澤部「米さん……。本当に、ごめんよ――……」

最後の銃声が鳴り響き、坊主頭はスイカのようにはじけ飛んだ。
特に澤部の事が好きだった守屋の近くで永眠する。

 

831: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:53:20.31 ID:HVN35twia

米谷「茜……」

澤部の言う通り、コンタクトもウォッチもねるから教えてもらった。
ウォッチに関しては、ねるも確証はなかったらしいがどうやら本当だったようだ。

平手を倒した後、目を閉じてコンタクトをしていない茜と筆談していた。

二人生き残ることはできず、私のやりたいことを伝えると勝ちを譲ってくれた。
負けず嫌いな茜は、負けて諦めることはあっても最初から負けることはしたことがない。
私のことを信じてみんなのために自分が犠牲になったのだ。

米谷(サクリファイス――)

澤部たちを倒すために、船ではなく再び島に上陸する必要があった。
茜の演技に賭けて、あたかもテンプレ通りに見せかけて殺した。

 

832: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:57:41.75 ID:HVN35twia

運営側に疑わせここまで来させ、隠しておいた武器で仇を討った。
澤部への敵討ちは茜と二人で取ったのだ。

米谷(必ず迎えに行くから。待ってて、みんな――)

時刻は0時を過ぎ、日付が変わり2月24日になる。
無事とは言い難くも誕生日を迎え満18歳になった。

米谷「Happy birthday……,to me」

これから行く国の言葉で自身を祝う。

漢字欅21名、ひらがなけやき1名、澤部、黒服4名の計27人で訪れた島を、ただ一人の優勝者だけが船に乗り本島へ帰る。

 

841: 名無しのまとめラボ 2018/09/13(木) 00:26:28.36 ID:URZ8ZSmZ0
>>832
「迎えに行くから」とは遺体を島に回収に行くという意味?

 

844: 名無しのまとめラボ 2018/09/13(木) 01:24:34.51 ID:gTE/dW9K0
>>841
それ思った

 

833: 名無しのまとめラボ 2018/09/12(水) 23:59:15.83 ID:HVN35twia
グダグダになってすいません……
文字数制限が、ヤバえぐすぎて全然進まないです。
次は一週間後の話です。
本当にもうすぐ終わります。明日

 

836: 名無しのまとめラボ 2018/09/13(木) 00:01:29.90 ID:6sBy9eMX0
大丈夫やで

 

837: 名無しのまとめラボ 2018/09/13(木) 00:02:16.65 ID:Zh9bqvSy0
明日も!楽しみにしてます!

 

842: 名無しのまとめラボ 2018/09/13(木) 00:51:17.01 ID:up+spk99p
おつかれさまでした明日も楽しみにしてます
ねんさん…

 

848: 名無しのまとめラボ 2018/09/13(木) 07:58:23.28 ID:KaL9hCEfd
お疲れ様ー
よねさん頑張った!

 

引用元: http://2chspa.com/thread/keyakizaka46/1535728023

コメント

  1. 名無しのまとめラボ 2018年9月14日 13:30 ID: UxOTg4NDM

    アイドルの同人小説ってまだあったんか
    おっさんの若い頃はモー娘。の同人小説が2chやその界隈にたくさんあったけど
    ここ10年以上は見た記憶なかったから懐かしい

    返信する

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