第七話
10:00
理佐は目が覚めると地面に倒れていた。
どうして外で眠っていたのか、全身が激しく痛むのか。
辺りを見て全てを思い出す。
理佐「愛佳――!」
傍らに倒れている志田は頭が潰れており確かめるまでもなく死んでいた。
倒れているもう一人も同様だった。
理佐「……美穂……」
自分と同じ顔をした人間が死んでいる。
とてもきれいな死に方とは言えない。
自分が死ぬ姿を連想して気持ちが悪くなる。
理佐「痛っ……!!!」
人間の上に落下したとはいえ高さ20メートルから落ちて無事でいられるはずがない。
身体の左側を強く打ち付けており、左腕を骨折、左脚を複雑骨折していた。
頭も打ち顔へ伝った血はとっくに固まっている。
前編→【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【前編】
中編→【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【中編】
中編2→【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【中編・2】
後編1→【良スレ】欅坂46・守屋茜「バトルロワイアル?」【後編・1】
改めて灯台を見上げてその高さに驚き、さらに自分が生きていることに驚く。
理佐(私、頑張ったよ……。みんなの仇、取ったよ…………)
灯台の中にいる鈴本と菅井の敵討ちが出来た。
まだ放送で呼ばれていないメンバーを思い浮かべると、一番最初に出て来た人物がいた。
理佐「…………」
もう一度だけ会いたい。
顔を見たい。声を聴きたい。匂いを嗅ぎたい。腕を噛みたい。抱きしめたい。
いっそ全部できなくてもいいから、ただ会いたい。
いつもみたいに笑わせて、安心させて、傍に居させて。
だから、どうか生きていて――。
生前志田に向けられていた想いこそ、今まさにそのメンバーへ抱いているものと同じだと知る。
理佐(これが、愛か――)
今なら一緒に死にたいという気持ちも解らなくはない。
だからと言って進んで道連れにしたいとは思わない。
理佐「みんな……。私、会いに行ってもいいかな……?」
鈴本が命を賭けてまで会いたかったのに、自分だけが会いに行ってもよいのだろうか。
後ろ髪を引かれるように悪い気がするも、この気持ちは誰にも抑えられようがない。
一秒でも早く会いたい気持ちが原動力となり、傍らのスナイパーライフルを拾い立ち上がる。
理佐「行こう」
スナイパーライフルを松葉杖代わりに脇に挟み第一歩を前に出す。
理佐「痛ッ――」
脚に激しい痛みが走るも、耐えられないほどではない。
一歩また一歩とゆっくりと小さく着実に歩を進める。
その遅さから好きな人に会うのに途方もない時間がかかることになりそうだ。
理佐(行ける……、会いに行ける……。また会えるんだ……織田に――)
するとはるか前方に人影が現れる。
痛みで目が霞むもそれは探し求めていた織田のシルエットに見えた。
理佐「!!ぉ、だ……!!」
大きい声は出せず、声が届かずともこちらに気づいてた。
??「り、理佐ァッ!!!」
自分を呼ぶ大きな声を聴き、織田ではないことに気付く。
理佐「ぁ、かね――」
織田に見えた人物は副キャプテン守屋茜だった。
理佐(織田じゃなかった……。それより――)
守屋の呼ぶ声は尋常ではなかった。
ただ驚いて叫んだのではない。
まるで恨みでもあるように感じた。
わなわなと震える彼女を見て最悪の事態を想定する。
理佐(既に、あの美穂に出会っていたとしたら……つまり、それを私だと――)
守屋「!!!」
理佐は手にスナイパーライフルを持っている。
丸一日前に全く同じ銃で撃たれたことを忘れるはずもなく右二の腕の創傷が痛む。
守屋「――っ」
そして奥の灯台の下に倒れている二人がいる。
遠くて誰なのか判らないが理佐の手にかけられたのだと確信する。
守屋(許さ、ない…………。みんなの仇!!!!!!)
死んでいったメンバーを想い、怒りの炎が瞬時に着火した。
守屋「ぅわあぁあああああああああああああ――!!!!!」
出会ってわずか数秒で銃を向け、引き金を連続で絞る。
理佐「――!!」
二発の弾丸が眼前まで迫り来る刹那、理佐は思う。
ゲームの発端は澤部でも愛佳でも他の誰でもない。
この私だ。
欅に入ってしまったからこんな悲劇を生んでしまった。
私がみんなを殺したようなものだ。
入らなければ、いいやいっそ生まれて来なければよかった。
人に愛されたことこそが私の罪。
そして、これが受けるべき罰――。
全ての責任を一身に受け、弾丸を受け入れる。
弾丸は胸を貫き、銃創と口から血を流して地に崩れ落ちる。
理佐(みんな…………。ごめん――――)
渡邉理佐は死んでいった仲間たちの元へ謝りに逝く。
守屋「ハァ、ハァ、ハァ……!!!」
息を切らし、尋常ではない発汗で溺れそうになる。
この島に来て、人生で初めて人を殺した。
一人の人間の人生を終わらせた事実に全身が震える。
守屋「理佐…………。どうしてっみんなを……!」
涙を流し、理佐の死を確かめにふらつきながら近寄る。
守屋(確かに、死んでる……。私が、殺したんだ――)
撃たなければ撃たれていた。
殺さなければ殺されていた。
必死に罪の意識を感じないように正当化していた。
そうでもしなければ押し潰されてしまいそうになる。
一体何人が理佐に殺されたのか分からないが仇を取ったんだと自分に言い聞かせる。
理佐の死体を後に、灯台の下で倒れている二人の元へ行く。
一目で上から落下して死んだのだと判った。
まず目についたのは志田の死体からだった。
守屋「愛佳ぁ!!っ~~~~」
志田とは仲が良くシンメでもあり一緒のユニットだった。
仲間の死に幾度目かの涙が決壊する。
泣きながら倒れているもう一人の顔を覗く。
守屋「…………。………………え?」
その死体は先程撃ち殺した理佐の顔をしていた。
何もかもを忘れて頭が真っ白になる。
守屋(……なに、コレ……?だって、アレ――?)
後ろを振り返るとやはり理佐は倒れて死んでいる。移動するわけがない。
守屋(アレは理佐で間違いない。コレも、理佐だ。……なんで”理佐”が二人いるの???)
視界が歪み耳鳴りがして、立っていられず膝をつく。
訳が分からない状況に思考が追いつかず目が回る。
ふと分校で澤部に言われたことを思い出す。
澤部『今大会を盛り上げてくれる”転校生”がいるぞー』
守屋「!?てん、こう、せい……?え、22人目の――……」
さっき転校生はなんですぐに撃って来なかった?
持っている狙撃銃で昨日みたいに撃てたはずなのに。
まさか本物の理佐だった?
いやいやそんなことあるわけない。
だって私を撃った銃を持ってるじゃないか。
確かにあの銃で右腕を撃たれた。
でももし同じ顔で同じ銃を支給されていたとしたら?
いやいやありえないありえない。
澤部が初めにそれぞれ違う武器を支給すると言っていた。
転校生は理佐&愛佳と戦ってボロボロに負傷していた。
二人とも頑張ったけど上から突き落とされた?
転校生もあの重傷からして一緒に落ちた?
それで負傷してすぐに撃てなかったんだ。
これで間違いない。理佐なわけがない。あるはずがない。
守屋「うん…………。私が撃ったのは転校生だ……!そうだよ…………絶対……」
わずかな矛盾に目をつむり、転校生を片付けたのだと思い込む。
守屋(そういえば、さっき何か言ってたような……。あれは――)
先程対面した時に聞こえなかったが何かを口にしていた。
生前言い残した二文字の言葉は何だったのか、口の動きをマネをする。
守屋「お……あ……。お、あ……。おあ……、おだ……、――へ?」
偶然メンバーの苗字を言っていたことに気づく。
自分とそのメンバーを見間違えてたのか。
転校生があの瞬間にメンバーの名前を声に出して言うだろうか。
しかもどこか切なく嬉しそうな顔をして。
守屋「………あ」
自分が撃ち殺した相手は転校生ではなく、二年半苦楽を共にした渡邉理佐だったと確信に変わる。
真実にたどり着き、心が張り裂ける。
守屋(あぁあ……………、あぁあああああああああ……!!!あああああああああああああ・あ・あ……!!!!!!!!)
せっかく理佐が転校生をやっつけてくれたのにその理佐をこの手で殺してしまった。
ボロボロになりながらもみんなの仇を、みんなを守るために倒してくれたのに何てことをしてしまったのだろう。
何よりどうして大好きな理佐を殺さなけばならなかったのか。
守屋「×××……」
様々な想いが押し寄せ大人たちでも転校生でもなく自分自身を呪い心は地の底に落ちる。
胸を撃ち抜かれた感覚に陥り、意識が遠退いていった。
ショックで小一時間程意識が飛んでいた。
起きると魂が抜けたようにただぼうっとしていた。
永遠にこのままではいられないのでゆっくり立ち上がる。
守屋「……一体、ここで何があったの……?」
吸い込まれるように灯台の中へ入る。
筒の間を経て部屋に入ると、ここも戦場になっていたようだ。
ナイフが落ち、弓矢が散らばり、血を流して倒れている二人がいた。
守屋「み、美愉ぅ……!!!」
先ず目に入ったのは頭を撃たれ死んでいた鈴本美愉からだった。
腕には矢が突き刺さり、片腕だけで漢字の”十”という字を作っている。
反対側にいるもう一人はうつ伏せで背中にナイフが刺さっている。
守屋(あ……あの髪形、制服……まさか――!!!)
心臓がこれでもかというくらいに高鳴る。
似ているだけかもしれないと言い聞かせ確かめに近寄る。
守屋「あっ、あぁ……!!ゆ……ゆ、友香ぁあッ!!!!」
それはずっと会いたかった菅井友香の亡骸だった。
数々のメンバーの死を見てきたが彼女の死が一番悲しく、子どものように喚いて泣き、大粒の涙はしばらく頬を乾かさなかった。
守屋(もう、どうすれば……いいの…………っ)
しばらく泣き続け最早涙は枯れ果て、生きる気力がなくなってしまう。
忙しく泣きたりぼうっとしたりを繰り返し精神が疲れてしまう。
守屋(もっと早くここに来ていたら、みんなを助けられたかもしれなかったのに――)
失った命は元には戻らない。
もう一緒に歌ったり、踊ったり、話したり、騒いだり、笑い合うことができない。
守屋(せめて、あっちでは――……)
外に出て片腕で一仕事する。
志田と理佐の死体を中まで運んだ。
野晒しにしておくわけにはいかず、せめてみんな一緒のところにいて欲しかった。
並べた四人の死体を見て思い出が溢れる。
守屋「美愉……」
歌もうまくダンスもかっこよくて美しかった。
夜遅くまでダンスレッスンを頑張って、よく寝不足になって寝ているところを撮られていた。
その小さくて可愛い唇も大好きだった。
守屋「愛佳」
私がやらかしたりスベりそうになる度にちょっとバカにしたような笑いだったけど喜んでくれていた。
いじわるだけど優しい愛佳のことが好きだった。
運動会の時もチームガチを一緒に盛り上げてくれた。
夢の諦めるよう言われたけど私は諦めない。
守屋「……理佐」
いつもクールで、メンバー困ってる時によく助けてあげていた。
ラヴラヴログや番組のりさおクンがかっこよすぎて、本気で目覚めそうになってしまう一歩前まで好きになった。
ペアロケはできなかったけど、いつか映画デートなんかしたかった。
守屋「友香――」
誰よりもチームのことを考えてくれていて一緒にキャプテン・副キャプテンに就任できたことが嬉しかった。
いつも遅くまでチームのことを語り合った日の事を忘れない。
二人でやっていることなんて泥臭く表には出ないことばかりだったけど同じ思想を持つ家族のような存在だった。
また二人ウェザーをやりたかった。
守屋(みんなと一緒に手を繋いで帰りたかったよ……)
四人に別れを告げて灯台を出る。
外には転校生の死体だけが残っている。
守屋(あなたは、誰なの?)
理佐と同じ顔を持つ転校生が誰なのか。
昨日一戦交えた時に、全くの初対面という感じではない気がした。
私たちに何の恨みがあるというのか。
正体は謎のまま後に知ることになる。
守屋(行かなきゃ……、生きなきゃ……!死んでいったみんなのためにも――)
理佐のスナイパーライフルを持ち、森へ帰るために歩き出す。
転校生は死に、あとは平手にさえ会わなければ誰も怖がる必要はない。
守屋「誰かに会ったら絶対仲間にするんだ!一緒に脱出しよう!!」
長濱と米谷の脱出方法を信じて今後出会うメンバーを仲間に誘うと心に誓う。
森に入りしばらく進むと、ショートカットの少女が立っていた。
守屋「――!!!」
一瞬それが平手かと思ったが、大鎌を持っていることもありすぐに違うと判った。
守屋「ああ!!オダナナー!!」
五番織田奈那がただそこにいた。
織田「………………」
守屋の声に反応し、ゆっくりと振り返る。
目はとろんとしていたが、次第に怒りの表情に満ちていく。
織田「よくも…………、よぐもゆいぼんをおおぉおおおぉおおほほおおおぉおおお゙お゙お゙お゙!!!!!!!」
守屋「――へあ!?」
目は左右別の方を向き、大鎌を持って襲って来た。
織田「あーうぉおおおぉおおおぉとなのおねえええぇええええぃいいいぃいいいいいさああああぁぁあああん!!!!!」
完全に狂気に駆られて、涎を垂らしながら目がイっていた。
守屋「ちょ、待っ――!!」
命の危険を感じて止めるのを止めて、逃亡を選択する。
守屋「な、なんで!?オダナナ!!私だよっ!!私が分からないのぉ!?」
逃げながら問いかけるも耳に届かず、大鎌を振り回して追いかけて来る。
織田「ユイボン、の――仇ぃいぃいいいいいいいいひひッ!!!!!いひひのひ!!!!!!」
守屋「!?」
愛しの小林を殺したのだと思い込み怒り狂い一周回って笑い始めた。
織田「絶対に゙仇を討ってあげるからねっっっっっ!!!えふぇふぇふうぅううううふふふううううふぅはーははははひゃはっはははは――!!!!!!!」
応援してます
守屋「お――オダナナ!!!待ってっ!!!!話を聞いて!!!!」
逃げながら必死に声をかけるも、織田の心には届かない。
捕まったら本当に殺されるので本気で走る。
織田「うえへほおえおろふうふううろほおおほおおほおおーふうっうぇええぁえい!!!!!」
振り回す大鎌は木々を切り裂いていく。
日常では守屋の方が速いが、織田も地味に速く狂気の力で徐々に差を縮める。
負けじと守屋も再加速する。
守屋「……!!!」
このまま逃げ切れるだろうか。
逃げ切れたとして、その後はどうなる。
まだ生きてるねるや奈々未、瑞穂や美波にその刃に襲われるかもしれない。
守屋(私は織田を見捨てない……!!!)
先程の誓ったばかりのことを思い出す。
走りながら荷物と銃を捨て、逃げる足を急に止めて織田へ振り返る。
守屋「織田奈那ァッ!!!!」
両手を広げて織田を抱き締めるように待つ。
守屋はいきなり急停止したため勢いを止めきれず、加えて腰が引け自然と身体が後ろへ傾く。
織田「ッッッッッ!?!!?!?」
スライス斬りして来た大鎌は紙一重でかわせて目の前を通り過ぎる。
そのまま大の字で地面に倒れる。
突っ立ったままだったらフリーザのように胴が真っ二つになっていただろう。
殺されかけて尚、倒れた状態から名前を呼び掛ける。
守屋「おだっ、ななぁ……!!」
白目を剥く織田は足元の守屋へ大鎌を振り下ろす。
織田「ああああ………ッ!!!」
迫り来る大鎌にぎゅっと目をつぶり、死を覚悟して息を止める。
守屋「――ッ………、っ?」
いつまでも刃が来ず、そっと目を開く。
すると喉元寸でのところで大鎌が止まっていた。
織田の大鎌を持つ手に力が入り、一歩間違えれば振り落とされるところだった。
織田「あ、か……ね――!!?」
白目から黒目に戻り、目を覚ます。
武器を捨てて命を差し出した守屋の行動のおかげだ。
織田「由依の……仇を……取らないど……っ!!!」
守屋「お、オダナナっ!!由依を殺したのは私じゃない!!!私なわけないじゃん!!!」
織田「じゃ……じゃあ誰があ!!!誰が由依をおッ???」
言うのに躊躇いを感じるも教えないわけにはいかない。
守屋「友梨奈、だよ……」
織田「ゆ、り、な――!?」
守屋「昨日ゆいちゃんずの呼びかけに駆けつけて……由依が最期に教えてくれたの」
織田「!!」
織田も休戦の呼び掛けを聞きつけて山頂まで来ていた。
距離が遠かったため、既に山頂から誰もいなくなった後にたどり着いた。
その後、恐るべき嗅覚と勘で小林の亡骸を発見したのだった。
織田「…………」
織田は正気に戻りつつあった。
小林を殺されて気が狂い、誰が殺したかも判らず全員を葬り去るつもりでいた。
愛しの人物を誰が殺したのか判明し、考えることは一つだけになっていた。
守屋「この右手だって友梨奈に斬り落とされたんだよ。なんとか逃げ切れてよねみに助けてもらったの」
織田「ヨネが……」
守屋「それとね、ねるとよねみが脱出方法を知ってるの!!!」
織田「えっ!!脱出!?」
守屋「そうだよ!!だから一緒に行こう?私たち助かるんだよ!」
織田「…………」
考えるそぶりを見せ、大鎌を首から離してくれる。
仲間になってくれると解釈して喜ぶ。
織田「私は脱出しない。友梨奈を殺す」
守屋「なっ!!何言ってるのお!!もう何人もあの子に殺されてるんだよ!?」
織田「のこのこ脱出したら一生後悔する。由依に顔向けできない」
守屋「由依だってそんなことオダナナに――」
織田「由依は私の生きる希望だった。それを虫けらのように殺しやがって……!!!」
守屋「殺されるよお!?――行かないで!!」
必死の制止の声も届かず、織田は走り出した。
守屋は起き上がり追いかけるも、その速度についていけなかった。
守屋「待ってッ!!お願いだから――」
気合で走るも、織田は崖から飛び降りて消えた。
それ以上追いかけることができず諦めるしかなかった。
守屋「あぁ……!!」
織田を説得できず逃がしてしまったことを悔やむ。
武器と荷物があるところまで拾いに戻り、約束の地を目指して再び歩き出す。
しばらく歩き続け米谷と決めた地点Aの近くにまで来ていた。
ずっと自然の森が続いていたが、急に臭いから空気が変わる。
異変を感じてすぐにこの世の地獄かと疑わない惨状を目の当たりにする。
守屋「うっわ……!!?」
そこは何か所か爆発した跡があり、バラバラの肉片が散らばっていた。
守屋(何、これは……!?!?誰?!?!誰がこんなことを……!!!!)
これをやった犯人は誰なのか、被害者が誰なのかも判らない。
腕、脚、内臓等の肉片を直視できるはずもなく目をそらす。
後ずさると何かを踏んだ感触がし足元を見る。
空薬莢を拾い上げて、灯台に落ちていたものと同じだと気づく。
守屋(こ、これは!理佐が……、いやあの転校生が持っていた狙撃銃と同じ弾だ!)
その銃は今自分が持っている。すぐに同じだと確かめた。
守屋「……」
ただ殺されたのではなく、最後まで戦って敗れたのだと見る。
死体の身元が誰なのか知る義務があった。
こみ上げて来る胃液を気合で抑え込み、目を開けてバラバラ死体と向き合う。
恐る恐る近づき、一つずつ肉片を見ていく。
守屋(これは――1人じゃない……!2人だ……!!)
四肢の数の多さからして、二人分の肉片だと判った。
転がっている肉片の中から、一つの生首を見つける。
顔を確かめるのが怖い。逃げ出したくなる。
それでも一度確かめると決めた以上最後まで調べる。
生首にそっと触れ持ち上げて対面する。
守屋「あ……。リカ、ちゃん……!!!」
目元が焼け焦げていたが、口や鼻筋から渡辺梨加だと判断した。
守屋「ぁあああ。……。ぁああああああ……!!!!」
何度目かの号泣で地面に怒りをぶくけたくも全く力が入らない。
もはや泣きの描写のレパートリーが尽きてしまう。
それでも守屋の涙は再び湧き、枯れることはなかった。
一頻り泣いた後、再び二人の死体を見つめる。
守屋(たぶん、もう一人は菜々香だ……。二人はあの転校生と闘っていたんだ……)
米谷から聞いた0時の放送で呼ばれた三人を思い出す。
上村は平手に殺され、渡辺と長沢はここで転校生と戦っていたのだ。
守屋「菜々香……。梨加ちゃん……!!」
菜々香が幸せそうにたくさん食べていると、見ているこっちまで幸せになって来る。
梨加が笑ってると嬉しくて必ずみんなもつられて笑っていた。
守屋「…………」
片手しかないが手を合わせて、天国の二人の冥福を祈る。
落ちていた遺品を持ち、地点Bを目指し三度歩き出す。
・・・・・・
米谷は地点Bの山の中に拠点を構えていた。
今まで落ちなかった半径10メートルに仕掛けた簡易警報器の小枝が地面に落ちる。
米谷「!!」
米谷は辺りを警戒し、しょぼい十手を構える。
額に汗をかき、左右に目を配らせる。
すぐに現れた人物を見て、武器と腰を下ろす。
米谷「お――おかえり。よう帰ってきてくれたな」
??「よかった、ここにいてくれて。もう二度と会えないと思ったから」
米谷「ほんまやな。今なら神の存在を信じてもいい」
??「え、よねみが!?」
米谷「うちもそんくらい再会できたことが嬉しくてな」
二人の会話が耳に入り、横たわって休んでいたもう一人が目を覚ます。
長濱「あ……!」
怪我の痛覚より懐かしい人物と再会できた歓喜に満たされる。
長濱「ああっ!!茜ちゃん!!!」
守屋「久しぶり!ねる!!」
一日会っていなかっただけなのに随分久しく感じた。
二人は感極まって抱き合い喜んだ。
守屋は道中数々のメンバーに会った話をする。
長濱「菜々香ちゃん、梨加ちゃん……。ゆかり、美愉ちゃん、愛佳――あと、理佐」
守屋「私が、理佐を殺した……」
米谷「理佐も恨んでへんよ。仕方ないことやったんや」
守屋「……」
それは永遠に確かめることはできないので心の棘は抜けない。
守屋「二人はいつから一緒にいたの?」
長濱「夜のうちに、船でドンパチやってたの見えたと?」
守屋「え!うんうん!なんか煙も上がってたし――ってまさか!?」
長濱「あれねるなの。澤部さんたちに襲撃してゲームを止めさせようとしたんだけど、失敗しちゃった……」
守屋「マジか!!すご……。怪我してるけど、大丈夫なの!?」
長濱「米さんが直してくれたから」
守屋「おお!!」
米谷「んな大げさな」
ただの応急処置にやけに持ち上げてくれるので突っ込む。
守屋長濱「大げさじゃなぁいっ!!」
米谷「うぇえ!?」
命を助けられた二人は声をそろえて即答する。
守屋「よねみがいなかったら私死んでたんだよ!?直してくれたどころか命を救ってくれて、もう神だよ神!!」
長濱「ねるだってもうふーちゃんが迎いに来てくれたところだったんだから!悔しいけどほんとにありがとね!」
米谷「どういたしまして……」
支離滅裂な長濱は置いといて礼に応える。
長濱「ああいう大きい船には備え付けの非常用ボートがあって、それで帰って来れたんだよね」
米谷「偶然ボートは診療所の近くに打ち上げられてて、あらかたの治療後ここまで来たんや」
守屋「そうだったんだね……」
米谷「それと、もう一人理佐の顔をした転校生か……」
長濱「理佐がこのゲームに乗るはずがないと思ってたけど、そういうことだったんだね……」
守屋「あ……あとね、さっき織田にも会ったの」
長濱「オダナナ!!」
米谷「おおっ織田に……!」
守屋「でも、由依の仇を取るって言って行っちゃったんだ……」
長濱「!そう……」
守屋「頑張れば説得できたかもしれないのに……、私は…………」
長濱「仕方ないよ。オダナナにとってゆいぽんは生きる希望だから……」
米谷「願わくば、織田が平手を倒してくれれば一番いいんだけど――」
守屋「……どうか、死なないで……」
三人は心から織田を心配する。
・・・・・・
織田は森の中をひたすら獣のように走った。
途中で立ち止まり鼻をラクダのようにひくつかせ進路を決める。
恐るべき嗅覚で仇に近づいていると感じる。
ついに二人は突然の再会を果たす。
織田「ユ――友梨奈ァッ!!!!!!!」
平手「おだ……」
怒りをぶつける織田に対し、涼しい顔で応える平手。
織田「お前だったのかっ……、由依を殺したのはあッ!!」
平手「……!」
織田「絶対に許さなぁあああああああい!!!!!!」
出会ってすぐに戦闘が始まる。
先手必勝の平手が機関銃を向けると、すでに織田の姿は消えていた。
織田「ヌッヲヒイエア!!!!!!」
平手「!?」
突如現れた大鎌により、機関銃を弾き飛ばされる。
先刻守屋に見せた狂気錯乱全開で平手に迫る。
織田「しっねえええええええええぇらああああああああああああああああ!!!!!!」
大鎌の切り返しに襲われる平手は日本刀を抜刀し受け止める。
刃と刃がぶつかり合い拮抗する。
織田「おろぉおおおおおおおおらあああああああああッ!!!!!!」
織田が気合を込めると、刀もろとも平手を吹き飛ばす。
尻餅をつく平手の背後に回り込み、首に大鎌をかける。
平手「っ!!」
迫りくる大鎌を間一髪で掻い潜り脱出するも、頬を大きく切り裂かれた。
そのまま転がりながら一旦距離を置き、体勢を直す。
裂傷から滴る血は止まらない。
織田「しゃれおつぁーー!!!!!!!」
織田の連続攻撃は立ちどころに制服は破いていく。
防戦一方の平手の脚へ鎌を振る。
平手は飛び跳ねてかわしながら蹴りを繰り出す。
織田は腕で防御し、その足をわしづかむ。
平手「!」
織田「つえっへえええいぃ!!!」
そのまま地面へビタンと叩きつける。
平手「っ――」
何とか受け身を取ったが、ダメージは小さくなかった。
織田「くわっくわっくわっ!!!!!」
寝っ転がっている平手の顔めがけて次々と鎌を振り下ろす。
それを後ろへ転がりながら躱され、一人畑を桑で耕しているみたいになっていた。
渾身の一撃を振り下ろす。
紙一重でかわし鎌が地面に鎌が埋まると、カウンターの腹へ蹴りを叩きこむ。
織田「ごっは!?!」
蹴りがみぞおちに入り膝をつく。
その隙に日本刀を拾われた。
織田「ゆ~~り~~ぬァ~~~ッ!!!!」
仇を恨みの込もった目で睨み付ける。
その顔は真っ赤で、狂ってるというに相応しい表情をしていた。
平手「……!」
初めて恐怖を覚え、たじろぎかける。
織田「ていっ!!!」
大鎌を平手へ投げるも躱される。
武器を持っていない織田へ特攻する。
平手「!?」
平手「!?」
すると背後から空を切り裂く音を察知し、咄嗟に地面に伏せる。
大鎌はブーメランのように織田の手元に戻って来た。
伏せていなければ上半身と下半身はさようならしていただろう。
織田「×!!」
大鎌でエックス刈りを繰り出して来た。
後方へ退いてかわすも、制服のセーターがXの字に裂かれた。
珍しく焦りと不安で小さく息を切らす。
平手「はっ、はっ……」
小林を殺され限界以上の力を引き出している。
未だかつてここまで平手を追い詰めた人物はいない。
織田は間髪入れずに勝負に出る。
織田「んんんんんんなはははっはっははは!!!!!」
今度は急に笑い始めて大鎌を遠心力で回し、自身もコマのように回転し始めた。
平手「ぇ!?」
素っ頓狂な技を前に思わず驚嘆の声が零れる。
それは回転しながら迫り来る。
そこへ刀を切り込むも、回転する大鎌に阻まれ次の回転斬りに襲われる。
目の下を斬られ、幾度目かの後退をする。
織田「っははっははっはっはっはっははっはっははははのは!!!!」
平手「…………」
ずっと回転することはできまいと距離を取りながら攻撃が終わるのを待っていた。
その考えは甘く、時間が経つにつれて回転はますます速くなっていく。
背に木がぶつかり、逃げ場を失う。
例え木の後ろに隠れても、素早く回り込まれてしまうかもしれない。
後退は悪手と意を決して刀で防御を試みる。
次々に迫りくる大鎌に弾かれるも、刀を合わせて弾き流す。
織田「ダニダニダニダニダニダニダニダ二ダニダニダニダにダニダニィ!!」
二人の間に火花が散り、次々と平手に生傷をつくっていた。
このままでは致命傷に刃が届くのも時間の問題である。
平手「っ――うわあああああああああああぁああああああああああああああああ!!!!!!!!」
逆境に追い込まれて絶叫し、さらなる進化を遂げる平手。
織田の回転斬りに少しずつ対応していく。
織田「ナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナナ!!!!!!」
負けじと織田の回転も最高速度に達し、愛の力で押し始める。
織田「仇討ち取ったりィイイイイ!!!!」
戦国武将のように早くも勝利宣言をし、大鎌を顔めがけて振る。
平手「Discode」
そう小声で呟き、大鎌の刃ではなく付け根の棒を一太刀で斬る。
切り離された刃の勢いが止まらず平手の顔へ飛ぶ。
それを見極め、口で噛み受け止めた。
織田「カッパロ!?!?」
両の口端が切れ、顎へ血が伝う。
咥えている三日月の刃を吐き捨てる。
織田「っ――きえええぇえええええええええぇいッ!!」
刃を失いただの棒っ切れだけになっても退かず平手へ振るう。
それをひらりと躱され、左肩から胸にかけて斜めに斬り下される。
織田「ギャッハ……!!!!」
血しぶきを飛び散らせながらゆっくりと後方へ倒れる。
すかさず刀を喉元に突きつけられる。
織田「あ」
もう間もなく命が終わる直前に、胡蝶の夢を見る。
彼女と街をお出かけをしている。
まだ寒い日に温かいタピオカを飲み、ずっと行きたかったカフェへ行きSNS映えするパフェを食べた。
その後は兎カフェに行き、戯れている彼女を見て癒される。
これは何だ。
神様が最後に見せてくれているのだろうか。
由依とデートなんてできるわけないじゃん。
今思えば誘うチャンスなんて百万回はあった。
同じグループで活動し毎日会っていて、触れられるほど近くにいた。
なのに誘えなかったのは断られるのが怖くて臆病だった自分のせいだ。
もしこれが夢で目が覚めたらいつもの日常だったら、勇気を振り絞って誘ってみよう。
大好きだよ、由依――。
織田「連れて行って……。由依の所へ――」
これが現実でも夢でも愛しの人の元へ行けると死を迎い入れる。
平手「……」
それに応えるため一閃の斬撃が襲い、織田奈那は喉を捌かれ息絶えた。
残り6人
てかまじでみいちゃんどうしたんw
さすがにないだろうなぁ…
サワビがそんなことしなさそう
サワビはそんな人情みたいなものはない
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コメント
名無しのまとめラボ 2018年9月9日 12:49 ID: AxNDkzMjA
このサイトはこれをまとめてくれたから少し印象が良くなった
名無しのまとめラボ 2018年9月9日 14:03 ID: kxODEzNzM
全くのイミフ
名無しのまとめラボ 2018年9月9日 16:15 ID: E0NzU4NTk
平手「Discord」はワロタwww
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