僕は「意識してしまったり、似てしまったり」を避ける
という意味でも秋元さんのAKB48以降の作品は、自然に
目に入ってくるもの以外、本当に勉強してこなかったので、
まったく無知だったんですね。なのでAKBグループのことも
分かってないのに、そこにきて坂道シリーズと言われても
その違いも座組のあり方もいまだに勉強不足で、
浦島太郎ですいません。
（中略）
そして話を平手さんに戻すと、彼女自身が何かに
似ているわけでもないし、1～2曲しか観ていないので、
「つんく♂はまったく分かってねぇな」と言われても
仕方ないので、その辺については言及しませんが、
『不協和音』という作品はとても刺激的で、パフォーマンスと
うまく折り重なって緊張感と興奮作用のある素敵な
曲だなと思いました。
僕の印象はモーニング娘。のオーディションに
平手さんが参加しても取らなかっただろうと思うけど、
Berryz工房なら取ってたかもって勝手に想像してました（笑）。
秋元さんはその辺さすがというか。以前、会った時も
「やりたいようにやらせたら、ああなるんだよ」と
話していました。普通なら『紅白歌合戦』で倒れたりすると、
チームの顔として使い続けることが怖くなる気もするし、
ほかのメンバーにもよくも悪くも影響を与えてしまうとしたら、
僕だったらもっとセンター感を分散させるなと思うんです。
でも、真ん中で押し続ける。それが僕と秋元流の
違いだなって思います。

僕はセンターを作ってきた意識があまりないんですよ。
「センター」という言葉が強調されるようになったのは、
AKB48からだと思ってます。特に総選挙やジャンケンで
センターを決めるという現象から世間も意識し始めたと
思います。
それぞれにいい時期があると思うんです。
モーニング娘。でいえば、安倍なつみがいて
後藤真希がいて、石川梨華が伸びてきて、
10年代だと鞘師里保がいて。アイドルグループ
だからこそ「エース」は変わっていったほうが、
やってるほうも観ているほうも楽しいんじゃないかと
僕は思うんです。AKBもそうでしたね。ファンの皆さんも
「次のセンター（この流れでいうエース）は誰かなぁ」
と語り合える。
僕流でいうと、真ん中にいるメンバー（俗にいうセンター）
よりも、「セクシービーム！」と言いながら割って入ってくる
矢口真里のほうがおいしいという演出もしてきたし。
たしかに後藤が入ってきた当初は後藤一色という
時期もあったけど、そのあと辻や加護の時代もあって、
ある種の群像劇的な演出ですね。観ている人の
ワクワク感というのも意識してましたよ。でも、作ってる
こっちが楽しかったのかもな。いま思えば。